いいなぁ
少女の左手に握られた風車が、カラカラと風に揺れていた。風車は鮮やかな青色をしていて、黄色い模様がえがかれているものだった。私が、その、風車に見とれているのに気が付いた少女が、にっこりと笑ってこちらに駆け寄ってくる。
「ねぇ、これ、綺麗でしょう!」
少女は私の顔の近くに、風車を差し出した、風車はまだ、くるくると回っている。
「綺麗だね」私は頷いた。嘘をつく必要がなかったから、そのことにほっとしながら。「羨ましいなぁ、そんな綺麗なものを持っているなんて」
「いいでしょう」
少女は誇らしげにして、体を弾ませた。いいなぁ、羨ましいなぁ。自分が持っているものを、他人に素直に自慢できて。羨ましがられて、素直に、喜べる、なんて。
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