第94話東南行(3)
渭北田園廢 江西歲月徂 憶歸恒慘澹 懷舊忽
どこの家のは婢女なのだろうか、その顔には入れ墨がある。
何歳の子供なのだろうか、あげまきをしている。
ヒシやミズブキを泥の中から取り、焼け残った柴や草を畑から拾い集めている。
皿は生臭く、鑪魚の刺身は見たくもない。
気候にしても涼しくなったと思えば、また暑さがぶり返す。
一日だって、朝かと思えば日暮れになる。
我が身は、浮草や木切れを追って漂ってきたけれど、歳を考えれば既に黄昏だ。
郷里の渭北では、田畑も荒れてしまったと思う。
しかし、そのままで、この江西で歳月が過ぎていく。
帰りたいという思いで、心は常にボロボロだ。
昔なじみの顔を思い出すと、そのまま歩くこともできなくなる。
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※燒後:焼き畑の後。
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※光陰旦複晡:晡は日が暮れる時刻。時間の経過が早いことを表現する。
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※渭北:白楽天は渭水の北に荘園を持っていた。
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