第61話燕子楼 其二

鈿暈でんうん羅衫らさん色似煙  幾迴欲著卽潸然さんぜん

自従不舞霓裳げいしょう曲  疊在空箱十一年


螺鈿らでんを散りばめた薄衣の衣は、けむるような、もやの色。

何度も身につけようと思いましたが、そのたびに涙があふれます。

霓裳げいしょうの曲を舞うこともなくなり、空き箱に畳んでしまい込み、十一年が過ぎました。



※鈿:螺鈿らでん

※暈:おぼろげなもの

潸然さんぜん:涙がこぼれるようす

霓裳げいしょう曲:玄宗の宮殿で行われた舞曲。


〇ひとり、取り残された悲哀を感じる。

〇美しい服を着ても、見てくれる人もなく、天子の宮殿で舞われるような舞を踊っても、見てくれる人はいない。

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