第26話新製布裘

桂 布 白 似 雪 呉 綿 軟 於 雲

布 重 綿 且 厚 為 裘 有 餘 溫

朝 擁 坐 至 暮 夜 覆 眠 達 晨

誰 知 嚴 冬 月 支 體 暖 如 春

中 夕 忽 有 念 撫 裘 起 逡 巡

丈 夫 貴 兼 濟 豈 獨 善 一 身

安 得 萬 里 裘 蓋 裹 周 四 垠

穩 暖 皆 如 我 天 下 無 寒 人



布のコートを仕立て下ろして


桂州の布は雪のように白く 呉の国の綿は雲のように柔かい。

その布はしっかりと重みがあり コートとして仕立てれば十分に暖かさを保つ。

そういうことなので、朝からコートに包まり夕方まで脱げず、結局夜も包まり朝まで眠る。

厳しい冬にも、この身体が春のように暖かいことなど、誰も知らないだろう。

それでも夜中に目が覚めた。

気にかかることが浮かんで、コートをさすりながら、立ち上がり部屋の中を歩き回った。

一人立ちした大人で役人でもある私としては、まず寒さに震える人々を救うことが大切なのではないか。

我が身だけが満足して何になるのか。

何とかして一万里にも広がるコートを手に入れ、四方を全て包み込みたい。

全ての人が私のように暖かく快適になり、天の下、寒さに凍える人を無くしたいものだ。


※布裘(ふきゅう):布製のコート




○元和年間、長安の作と言われている。諷喩詩。

○やはり人民を思う白楽天、自分だけが暖かいということでは済まされなかったようだ。



 

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