忍びの現実って?

金木犀の蕾

忍び

田中はある村で育った……

その村は他とは違い小さく、そして、歴史のある【ある一族】の村である。



現在の時刻 7:30………

朝食を食べ終わった田中は7:40に出陣


田中はこの村から近くとも自転車で40分以上かかる場所にある高校に通っている、だが、田中の走りは自転車のスピードを超え約5分早く高校に着く


ちなみに、田中の村の歴史ある伝統とは────





忍び、及び忍者と言われる者は、飛鳥時代から江戸時代まで、大名や領主に仕え、様々な依頼をこなし、諜報活動や破壊活動などを黒染めの衣を纏い、人とは思えない動きで活動してきた日本の精鋭部隊のことである。

昔の書物や遺産により、現在では忍者のことは日本を超えて海外にも知られている。



が、現在いまではどうだろうか?

今現在、忍者を発見した。又は、忍者に依頼を出した。なんて話は聴いたことがない。ネットのチャットサイトでさえも、聞いたことがないし、まず話題にもならない。


こんな話を聞いて、【忍者はいない】と、思う人ばかりだろうが、その考えは間違っている。そう、今、通学路を爆走しているこの田中こそが、忍者の末裔であり、忍者の伝統がある村で育った人間である。





「さてと……そろそろ着くかな」


俺は走るスピードを落とし、あたかも今歩きで登校してきたように振る舞う。その時、カバンからラノベを出すのがポイントだ。


「やっぱり最近はこのラノベが熱いな!」


そんなことを言いながら通学路を歩く。こんなのでも俺は一応忍者だ。


ちなみに忍者と言えば、黒染めの布を着て任務をこなすイメージが出ていると思うが、今このご時世、夜でも明るくなった世界で黒染めの布なんか来ている方が目立つだろう。

クナイや手裏剣などは持っていない。危険物所持に引っかかってしまうじゃないか……小刀なんかもってのほか。銃刀法違反だよ。


そのため、クナイはカッターナイフで代用してある。一応常備しているが、最近は学校に持ってこれないので意味をなさない。小刀も同様にカッターナイフで代用する。一応国に許可を貰えばいいのだが、なんせ隠密がモットーだからね!

あと、忍者と言えば、サンダルを履いているイメージだが、これも服と同様に履いていない。任務中なんか逆にバレやすいし、何よりも動きづらいからね。


ちなみに技は特に使えない。身代わりも出せないし、水遁も、隠れ身もできない上に、鉢巻も応援団のやつしかしたことが無い。

でも、技は技でも合気道や柔道の技なら一通り熟知しているし、無音で動くことも出来たり、とりあえず【超人】とは呼ばれることくらいは出来ると思う。なんたって隠密がモットーだからね!


「あ、着いた」


そうこうしているうちに学校に到着する。

学校の中では特に目立つ存在にはいない。いっつもラノベ片手に休み時間は過ごしているし、忍者がバレるのも嫌なので友達も作らない。


……そう、教室に一人はいる【ジミーズ】や【陰キャラ】と呼ばれる存在だ。


ちなみにそんなこんなで仕事中も無口。

仕事と言っても、政治家を守るなど国から支給される依頼は親がこなす。俺達子供がやることは、資料運びとかそこら辺だ。一見簡単そうには見えると思うが、それは国の大きな仕事や大きな企業か、国際的な企業の社長の護衛などに派生する仕事になる。その裏には殺し屋が潜んでいたり、国が大きく動くほどの大事件に発展する様な物も存在する。


先ほど、忍者は隠密がモットーと二回ほど大事だから言ったが、一応俺達の存在を知っている人達はいないことも無い。例えば国のトップ、政治家の一世代のトップ、超有名大企業の社長、国際的な企業の社長など、結構少ないが、正直、俺達にとっては、人数が多いと言ってもいい程だ。

これだけ知られていれば来る依頼も結構多く、重要な物で言ったら、サミットなどの護衛や、演説の護衛。そう、ああいう時に周りにいる黒服は大体忍者だ。世間一般の認識では【SP】と言う二つ名も存在している。

楽な仕事は忍者には一切ない。例え俺達子供の仕事でさえも、危険である。そのために俺達は隠密行動や合気道や柔道の技、そして例えるならパルクールの上位互換の様な動きを幼少期から練習する。


「……」


教室に入り、無言でそのまま座る。そして、またラノベを開き、お茶を一口。あぁ、美味しい。

あ、あと、このことはあまり親に言わない。正直に言うと、俺達忍者は、任務中の会話ほどではないが、家族での会話もとても少ない。親はほとんど毎日任務だったり、国レベルの任務なら海外に行っており、あまり家で会うことが少ないからだ。ちょっと悲しいよね。


……まぁ、家業を継ぐ気はそんなにないんだけど……ね。


忍者にも、現在の学生と同じく【進路選択】の様な物が存在し、成人して、そのまま忍者になるのか、それとも、忍者の村で働くのかと言う二択だ。決して就職か進学かなどの楽しいものではない。


朝のSTに向けての予鈴が鳴る。ここから俺の忍者として、いや、学生としての生活が始まる。

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