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「自由!前と比べて自分の意思で腕とか手とか指とか動かせる!」
「自由…?」
「…ソレは是非使ってみたいわね」
「あーあ、つまんない…」
マキナの感想を聞き、エルーは首を傾げてリザリーは好奇心を出して笑う中…
一番最後になったショコラがふて腐れたように地面に座って呟く。
「いやいや、逆転の発想でお前が一番運が良かったんじゃね?」
「…逆転の発想?どこが?」
「マキナもエルーもリザリーも…後ろから催促されて時間に追われるけどお前だけ時間に囚われないんだぞ?」
流石にみんな楽しそうにしてるのに一人だけふて腐れている、っつーのは雰囲気的にマズい方向に行きそうなので…
気分を上げさせるために一応フォローして一番最後のメリットを話す。
「…確かに」
「流石に長時間…は無理だが、みんなより少し長く使えるんだからソレはソレで幸運だろ」
「確かに!」
ショコラは同意するように呟いたあと、続く俺の言葉を聞いてテンションが上がったのか立ち上がりながら叫ぶ。
「ねー!マキナ!楽しい!?」
「すっごい楽しー!!」
「いいなー!」
ショコラが空を飛び回ってるマキナに大声で聞くと楽しそうに返され、嬉しそうな顔をする。
…ふう、なんとか雰囲気が崩れてギスギス状態になる事は避けれたか…
全く、いつものことながら女に気を使うのも大変だな。
…まあこれは相手だろうがなんだろうが男女限らずなんだろうけども。
みんなが楽しそうにしてる感じの雰囲気の最中に俺は気づかれないようにため息を吐いた。
…10分後。
「…うー、もっと使っていたかった…」
「後ろがつかえてるんだから仕方ないだろう……スラスター、オン」
空から降りてきたマキナが不満気に呟きながら金属防具一式を外し、エルーはソレを受け取って装着するとやっぱりすぐさま詠唱破棄で魔術を発動させる。
…エルーのリアクションや感想もマキナと似たような感じだったので省略。
「…予想のかなり上を行く性能に仕上がっているな…」
「次は私ね……スラスター、オン」
未だ興奮の余韻冷めやらぬ、な状態のエルーが驚いたように呟きながら金属防具一式を外してリザリーに渡す。
リザリーはソレを渡されて直ぐに着け、金属防具一式を全て着け終わるや否や詠唱破棄で魔術を発動させた。
…リザリーの反応や感想もマキナやエルーと似てたのでカット。
やっぱり類は友を呼ぶ、っつー言葉が正しいのか…
前の人の反応…リアクション?とか感想を見聞きしてんのに、似たような反応や感想を出すんだよ。
不意を突かれて驚かされた時の声が『うわっ!』とか『ぎゃあ!』とか『きゃあ!』とかみんな似たような言葉を言う、みたいに…
意外と目の前で見てても実際に衝撃を受けると、誰彼構わず似たような反応になるんかね?
「きた!いよいよこの時がきた!いやー、長かった…」
リザリーから渡された金属防具一式を着けながらショコラはテンション高めに叫び、苦労話でも始めるかのように呟く。
「長かった、って…まだ一時間も経ってねぇだろ」
「もうそろそろで一時間だよ!体感時間で言えば8時間!」
俺が呆れながらツッコむとケータイを取り出して時間を確認してよく分からない事を言い出す。
「お前の体感時間なんて知らねぇよ…まあ我慢した分少し長めに遊べばいいんじゃね?」
「うん!…スラスター、オン!」
俺のご褒美的な意味合いの言葉にショコラは元気よく返事をすると詠唱破棄で魔術を発動し…
すぐさま垂直跳びでもするかのように真上に飛んで行った。
「…アイツにはちゃんと危ない事をするなよ、って注意しとくべきだったな」
「あはは…でもそこらへんはちゃんと考えてるんじゃない?」
上を見て呟いた俺の言葉にマキナが苦笑いしながら疑問系でフォローする。
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