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「…お、おお…マジか…」
「今直ぐ開けていいよ?」
虚を突かれたので反応に困ってると疑問形ながらも催促するように言ってくる。
正直ちょっとワクワクしてたのでマキナの言葉に従うようにその場でラッピングをテープの部分から剥がして綺麗に取り、箱を開けると…
「…なにコレ?」
『金属防具一式』と書かれただけの折り畳まれた紙が入っていた。
開いても何も書かれていないので全く何か分からずに問う。
「え?見て分からない?」
「いや、分からないから聞いてるんだが…」
「レポートだよ?作成書や設計図って言い換えてもいいかな?」
マキナが不思議そうに首を傾げて聞いてくるので若干困惑しながら返したら、意味の分からない答えが返ってくる。
…え、レポート?作成書?設計図…?
『金属防具一式』の文字以外に何も書かれていないA4サイズの折り畳まれた紙一枚が?
「…いやいや、ほぼ白紙なんだが?」
「うん、だって作れなかったから」
「はあ?」
俺の疑問に答えになってない返事をされたので意味が分からない…というか意図が図れない。
「でも分かるでしょ?」
「分からねぇよ」
「えー?いつもならもう察してるくせに…」
笑顔で聞かれたので否定するように返したら拗ねたような表情をされた。
…え、まさか……いやいやいや、流石にソレは…無い、よな…?
自分達に出来なかったからって、俺に作り方を教えて貰おうだなんてそんな…
「…分かった?」
外面も雰囲気も全く変えてないはずに何故かマキナは俺の内心を察したように笑いながら聞いてくる。
「…分かりたくねぇよ」
「あ、じゃあ分かったんだ」
「これ俺へのプレゼントじゃねぇじゃん、俺にプレゼント寄越せっていう要求じゃねぇか」
俺が拒否るように返すとマキナが嬉しそうな反応を見せたので不満をそのまま告げた。
「…気づいちゃった?」
「かわい…じゃなくて、却下だ…コピーしたけりゃ自分達でなんとかするんだな」
可愛らしく舌を出して、テヘペロ☆みたいな事をするので…
危うく本心が出そうになるのをなんとか抑えてクールに協力を拒否する。
「えー…まあしょうがないか、ダメ元だったし…じゃあソレ、捨てていいよ」
「…もはやゴミを渡しただけじゃねぇかよ…」
やけにアッサリと諦めたマキナの言葉に俺は呆れたようにため息混じりで呟きながら紙を破った。
「程人君が断るからゴミになったんだよ?」
「そりゃ断るだろ、なんで苦労に苦労を重ねてせっかく完成させた物をわざわざ劣化させてコピーすんだよ」
「…え」
離れるように歩きながら否定するように言ったマキナが、俺の何気なく言った拒否った理由を聞いて動きを止める。
「…完成、劣化って…この前のはまだ未完成だった、って事…?」
「実験型プロトタイプとしては完成だったが…そこから実戦型プロトタイプに調整、改善した」
「…実戦型?」
不思議そうに聞いてきたマキナに説明すると今度は首を傾げた。
「この前のは機動性はあった、が…戦闘で使えるか?と聞かれたらなんて答えてた?」
「…魔術で手足を動かしてる分、肉体的意思で自由に動かせたワケじゃないから…難しいと思う」
俺の質問にマキナの雰囲気がガラリと変わり、真面目に考えながら答える。
「だろうな、あの時はあくまで速く移動が出来て空が飛べる…っていう限定された機動性があっただけだ」
「でも使うのに慣れたらそこらへんの兵士や傭兵が相手なら問題は無いと思う、けど…あれじゃあ熟練者達とは戦えない」
俺が賛同して初期型の特徴をそのまま言うと、マキナはアレを戦闘で使った時に戦えるレベルを予想し強者達とは渡り合えないと断言した。
「だから、ソコを調整して改善した」
ソレが実戦型プロトタイプだ…と、今の金属防具一式の状態を説明する。
「…って事は…手足を自分の意思で動かせるようになったの?」
「ああ、もちろん魔術を発動してる状態でもな…空飛んでる時でも自由に動かせるぜ」
「…るい」
マキナの疑問に答えたら、微妙に聞こえるか聞こえないかぐらいの小さい声で呟く。
「ずるいよ!そんな面白そうな物を異国で完成させるなんて!」
…聞き返そうと口を開いたら声を発する前に責めるような口調で怒鳴られた。
「いやいや、異国じゃなかったらもっとかかってたぞ?」
大量の雑魚に、何故か金属防具一式を使い熟せるド変態…ソレが無かったら完成するまでにもっと時間がかかってたろうし…
まあ環境がちょうど揃っててラッキー!ってところか?
…そういやなんであのド変態、あんなに金属防具一式を使い熟せてたんだろう…?
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