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「…あ?んだ、てめぇ…どっから…」


「!?」



無名を鞘に納めて中に入ると、明らかに下っ端であろう男が俺を見てソファから立ち上がり近づいて来るので剣を抜いて首を刎ねた。



「あんたが組長か?」


「て、てめぇ何者だ!昨日の女と同じ忍者か!?」



また無名を鞘に納め、上座の位置に座ってるスーツ姿のサングラスに問うとうろたえたように質問返しする。



「…俺が誰かなんてどうでもいいんだよ、質問に答えろ」


「…!く、来るな!!」



俺がため息を吐いて言いながら近づくとサングラスをかけてる男は机の中から拳銃を取り出して構えた。



「お前が、この組の中で、一番偉いんだよな?」


「来るなって言ってんだろ!」


「おっと」



全く歩みを止めずに言い方を変えて聞くと男が発砲したので弾を横から掴み取る。



…おお、意外に熱いんだな。



「なっ…!この至近距離で…!?」



…まあ2〜3mぐらいしか離れてないんだからタイミング図り易いし、打ち出された後からでも弾を取るのは余裕だろ。



漫画みたいに前から受け止める感じで掴むと結構痛いし、下手したら手を貫通するからねぇ…



その点横からだと掴み損ねても軌道はずらせるワケだし。



「危ないから没収」



俺は驚く男の手から拳銃を奪い取って後ろに投げた。



「…ひっ…!」


「俺の質問に答えろ、さもなくば殺す」


「た、頼む!助けてくれ!」



無名に手をかけた俺の脅しに男は命乞いをし始めた。



「遠間愛梨という女の子は拐ったのは誰からの指示だ?」


「…遠間、愛梨…?」


「…昨日お前らが拉致った女の子だよ」



俺の質問に男が不思議そうな顔をするので無名を抜き、首に当てて思い出させるように言う。



「あ!ああ!あの女の子か!アレはアニキから頼まれた仕事なんだ!詳しくは俺も知らねぇ!頼む、見逃してくれ!」


「…そのアニキとやらはどこにいる?」


「今の時間なら『飯塚組』にいるはずだ!千石の!」



…嘘は吐いてなさそうだな、ならばもう用済みだ…っとその前に。



「千石ってどこだ?」


「…は?文京区に決まって…」


「そ、ありがとよ」



場所を聞くと理解できないような顔をされた後に答えてくれたので、そのまま首を刎ねてお礼の言葉を告げる。



…次は文京区千石の『飯塚組』っつー所か…



あと何ヶ所回らないといけないのか分からないが面倒だなぁ…



最初っから黒幕が分かってれば楽なものを…と言っても愛梨を拐ったヤツを殺す目的は達成できたから良しとするか。



実行犯は始末したから、あとは指示した奴らと計画を立てた奴らを始末すればこの件は終わり。



…さて、一旦家に帰って自転車を置いてから次に行こう。






「おい!そこのお前!止まれ!」


「…んあ?」



ロープを外して車の屋根から自転車を取るとどこからか来た警察官が制止の声を上げた。



なんかあったのか?と思いながら振り返ると…



どうやら俺に声をかけていたらしい。



警官が二人、拳銃を構えながら近づいて来る。



「今すぐその腰の刀を捨てろ!」


「抵抗するなら撃つぞ!」



…あ、もしかしてさっきの拳銃の発砲音を誰かに聞かれて通報されてた系?



「…えーと…俺、忍者なんで帯刀は許可されてるんですけど」


「忍者だと?ワケの分からん事を言うな!」


「許可されているというのなら許可証を見せろ!」



直勘での閃きで状況把握が直ぐ様出来たので適当なでっち上げを言うも信じては貰えなかった。

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