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「…ねえ、愛梨は無事なのよね?」


「ああ、今は実家に居る」



ようやく落ち着きを取り戻したであろう藍架が確認を取ってきたので肯定して現状を告げる。



「なんで愛梨が拐われた事に気付いたの?」


「さっき俺んとこに変な電話がかかってきたから」


「…あ、そういえばお兄ちゃん…私のケータイやカバンは持って来てない…よね?」



藍架の疑問に答えてると愛梨がふと気付いたように俺に聞く。



…カバンやケータイか…流石に無機物の影は人と違って形が一緒だからなぁ…



まあでもケータイならなんとかいける…か?一応チャレンジしてみよう。



「…ちょっと待て…薄い布あるか?」


「…え?…シーツなら…」


「よし、ソレを貸してくれ」



影移動でケータイを取り戻す…という普通なら絶対にやらなそうなチャレンジをするため俺は愛梨にそう要求した。



「…はい、コレ」


「藍架、とりあえず話は家に帰って来てからな」


「え?ちょっ…」



愛梨は部屋にあるクローゼット的なのからベッド用っぽいシーツを取り出して渡して来たので…



影移動するために藍架にそう言い最後まで聞かずに電話を切る。



…愛梨のケータイねぇ…確かすまほとかいう薄い長方形だったよな…?



「愛梨、お前のケータイって装飾品は付いてるか?」


「装飾品…?…あ、四つ葉のクローバーとディズニーのキャラのストラップが付いてるよ」


「…おっけ」



一応愛梨にケータイにストラップが付いてるかどうかを確認しシーツの下に手を滑り込ませた。



…四つ葉のクローバーに版権問題になりかねんキャラのストラップか…



愛梨が監禁されたであろう場所の近くなら同じケータイがある確率は低いハズ…



とはいえ、愛梨の監禁されてた場所がどこか分からんからほぼ勘なんだけど…



「…お兄ちゃん…何してるの?」


「…手品だよ、手品……むむむー!……はいっ!」



ケータイの影を探ってると愛梨が不思議そうに聞いて来たのでごまかすように適当に返しながら探り…



それっぽい影を見つけ、周りに人が居ない事を確認してから手品師っぽい掛け声をしてケータイを俺の手の平に影移動させた。



「!?それっ!私のスマホ!」


「お、コレで合ってた?ほい」



シーツを手から退かすとこのケータイで合ってたらしく、愛梨が驚いたように声を上げたのでそのまま渡す。



「ありがとうお兄ちゃん!持って来ててくれたんだ!」


「…まあな…でも流石にカバンは俺の手品じゃどうしようもないから諦めてくれ」



嬉しそうにお礼を言われたがあと一つの方は難しいので先に断っておく事に。



「スマホだけで充分だよ、ありがとうお兄ちゃん!」


「うおっと!」



愛梨は可愛く笑うと嬉しさの表現をしたいのか、俺に正面から飛び込むように抱き着いてくる。



























































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