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「な?誰だって自分の記憶にない事の責任は取れないだろ?」


「…偽物じゃない証拠があれば?」


「…ソレが本物だっていう証拠は?もはや悪魔の証明と一緒だって」


「…あれ?記憶に無い事の責任は取れなくても、記憶にある事なら責任取るの?」



リザリーの問いにため息混じりに返すとマキナが閃いたように首を傾げる。



「記憶にあるんなら取らないといけないんじゃね?記憶が残ってんなら人事じゃなくなるし」


「じゃあ思い出させれば良いんだ…」



俺が適当な感じで言うとショコラはニヤリ…と怪しい笑みを浮かべながら呟いた。



…コレって冤罪を引き起こすやべぇやつを考えてる顔のような…



拷問だの尋問だのして肉体的、精神的に痛めつけて強制的に認めさせる…とか考えてそう。



…まあどうせ俺には関係の無い事だからいいけども。



俺はショコラの怪しい笑みを見て見知らぬ誰かに同情するように心の中で十字を切る。







「…話をちょっと戻すけど…結局マーラスってていとのおかげで急成長中、って事になるの?」



間が空いて微妙な空気が流れたところでショコラが話を切り出す。



「…さあ?」


「…結果だけ見ればそう捉えても間違いではないな、結果的に数兆円規模の資金援助をした形になるし」



俺が首を傾げると『結果』という言葉を強調したいのかエルーは会話の中に二つも入れてきた。



「…確かに過程はどうあれ、結果だけを見たら程人がマーラスに資金を援助した事になるわね」


「…過程を聞いたら程人君の意思とは全く関係ないから判断としては微妙だけどね」


「でもこのまま経済が急成長を続ければユニオンと同盟でも組みそうじゃない?」



この情報を知ってるのは私達だけだし、今の内に手を打って手柄に出来ないかなぁ…?と、ショコラは一体何度目かも分からない成果の横取りを考え始める。



「…ソレもそうね…あの准将なら利用出来そうじゃない?」


「そだね、程人君の現状も知ってるし…」


「証明なら俺とディルムードが出来る…問題はどうやってアイツに発言させるか、だな」


「…お前らハイエナかよ…」



早速計画を立て始めた4人を見て俺はため息混じりに呟いた。



「あんたが要らないって捨てた権利を拾ってるだけでしょう?横取りしてるワケじゃないわ」


「そうそう、なんなら程人君が主張する?」


「…いや、面倒だから止めとく」


「じゃあ私達が貰っていい、って事だよね!」



…俺の性格は完全に把握されてるので、やる気もないのに意地やプライドだけで下手に立ち向かっても結局手の平で転がされるだけだ。



そもそもコイツらの言う通り俺が捨てた物を拾って再利用してるだけだからなぁ…



…外には出してないが…俺、絶対こいつらに内心でカモ扱いされてるんだろうよ。



…つーか、良く考えたらズレにズレまくってんじゃん。



コイツらをこの平原に呼んだのは俺の部下と闘わせるためだったのに…



無駄に本題からズレまくったおかげで俺の部下は寝てるし。



「待て待て、計画を立てんなら研究所に戻ってからにしてくれ」



本題を思い出した俺は計画を練ってる4人に一旦話を遮るように話しかける。



「…そういえばなんでココに来たんだっけ?」


「テイトに呼び出されたからだろ?」


「…なんで呼び出されたんだろ?」


「…何か目的があったような気がするけど…」



ショコラの思い出したような問いにエルーが疑問系で答え、マキナとリザリーが考え始めた。



「アレだよ、ほら…優しい俺がお前らに現実の厳しさを教えてやろうとしたんだよ」


「「「現実の厳しさ?」」」


「…随分偉そうに上から言うわね?」



マキナとショコラとエルーは不思議そうに言葉を被せて首を傾げ、リザリーだけ反抗するように睨んでくる。

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