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「おやすみ」
「ぐっ…!」
ダメージが足にキてガクガクしてる男の後ろに回り、耳元で囁いて背中の一点をめがけて殴った。
ツボ押し拳裏六式 昏倒急。
「いっちょ上がり」
俺は男の肩に手を置き背中から倒れるように引いてから呟く。
…流石に前に倒したら女の子が下敷きになっちゃうからねぇ…
背中側ならコイツが多少のクッションにはなるでしょ。
お、女の子の衣服をひん剥くワケにはいかなかったからちょうどいいや。
倒れた男の上着を剥いで破り、女の子共々手足を拘束する。
…男は普通に血が止まらない程度の強さだけど、女の子は跡が残らないような縛り方だよ?
手首を外しても抜けられないぐらいではあるが、ほんのちょこっとだけ隙間空けてるし。
…肌に跡を残さずに、縄抜け出来ない程度の縛り方なんて普通の人ならまず無理だと思われ。
これも俺のスーパーな技術力があってこその芸当だな。
…さーて、次だ次……よし、さっきのアイツにするか。
女の子を肩に担ぎ、男は足首を掴んで引きずりながらさっきのモヒカンの所へと向かう。
「もう終わりかぁ…?もっと楽しませろよ!」
「うぎゃ!!」
モヒカンの周りにはさっきの男達以外の死体も転がっていて…どれも四肢が胴体から離れていた。
そして今モヒカンの目の前に居る男も左腕しか残っていない。
…おそらくいたぶって殺すタイプだろうな…
男女関係なくこうやってんのか分からんが、女相手にやってんならお前も同じ目に合わせてやるぞ。
「チッ…つまらねぇ…あん?…てめえ…!」
モヒカンは男を殺すと呟きながら俺に気づいて更に担いでる女の子と引きずってる男に気づく。
「…君達やりすぎ、相手をする私の身にもなってよ」
…強かれ弱かれ殺す分にはなんの問題も無いけどめんどくさいんだよ。
「…ありえねぇ…!二人を相手取って無傷で済ますだと…!?」
「ロリコンでペドなハゲデブサイクも居たよ」
驚くモヒカンに俺は嫌悪感を丸出しにしてそう告げる。
「チャグッチィも…!…面白れぇ!ソレでこそいたぶり甲斐があるってもんよ!」
さあ構えな!とモヒカンは俺の戦闘準備を促す。
…いきなり斬りかかってくると思いきやいやはやどうして…
戦闘狂なのか?変な礼儀は守るんだな。
…ってアレ?コイツ得物持ってなくね?
「…君こそ丸腰で私に挑む気なの?」
相手の礼儀に合わせ、女の子と男を邪魔にならない位置に置いて情報を得るために尋ねた。
「へっ…丸腰だぁ?てめぇの目は節穴か?」
モヒカンは得意気に笑うと腕を振る。
するとヒュン!と音がなり、モヒカンの近くに転がってる死体から血が飛び散った。
「…鋼線…?」
…なんて…なんてマイナーな武器を使っているんだ…!
糸のように細いワイヤーのようなモノを武器にするには並大抵の膂力では無理だぞ。
俺でさえ暗器で使う事はあっても大々的には使わねぇし。
そもそも鋼線なんて巻きつけてから引っ張り、切断するモノだから油断してる相手にしか効かないだろ。
…まあ見えにくいから相手の動きを見極めて仕掛けるっていう手もあるが…
ソレでも見えないワケじゃないから格上には通用しないんじゃね?
…俺がフルにすれば鋼線でも立派な武器になる可能性だってあるわけだけど…
普通の人間が武器として使うって頭おかしいよ。
「ひゃはは!分かってんじゃねぇか!じゃあ行くぜ!」
高笑いしたモヒカンは俺との距離を詰めるためか急に走り出す。
え、何故に距離を詰める?普通なら…
「…おっと」
「おらあ!」
モヒカンのアホみたいな行動に一瞬呆気に取られるもすぐさま無名を抜いて構える。
「ええ?」
鋼線でくると思いきや…まさかの右でのグーパンチに困惑しつつも余裕で回避。
「ふっ…バカめ!」
「お」
その右腕を横に払うような攻撃を上半身を反らして避けるとビュン!と上をナニカが通過した。
…変な戦い方だなぁ…
「チッ…らあっ!」
「おうっ」
避けられると思ってなかったのかモヒカンは舌打ちをして今度は左で殴ってくる。
が、当たるワケもなく普通に避けた。
…鋼線使いと戦う事なんてそうそう無いからどういう対処を取れば良いのか分からねぇ。
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