33
俺は屋根の上から女の子?を見下ろしたまま、ポーチの中からバラバラ状態の吹き矢の筒を取り出してその場で組み立てた。
そして結構強力な媚薬が塗られてる矢を取り、プラスチックのカバーを取り外し筒にセット。
……命中するかなー?…フッ!
「いっ…!なに!?なに!?」
見事命中し首筋に浅く刺さった矢を女の子?は慌てて取って辺りを見渡す。
…いやー、当たって良かった良かった…一応意識外だし?ボウガンのように攻撃の気配をさせない吹き矢だから避けられたらどうしようかと思ったよ。
…どうやら吹き矢で正解だったみたいだねぇ。
一応刺さってもほんのちょこっと血が出る程度の怪我しかしないし。
当然針が中で折れないように丈夫なものにしている。
…あとは気絶させて回収、説得に移って失敗したら調教…だな。
最悪廃人なったらユニオンにでも連れてくか…そうしたらこの隣国の奴らに回収はされないと思う。
「ちょっとお嬢さん…暴れすぎ」
「…なに?今のおばさんがやったの?」
屋根から降りて声をかけると女の子は大鎌を構えて臨戦体勢で睨む。
…もしかしてこの顔って周りから見たら老けて見えるのか…?
俺からしたら10代後半の少女の見た目だけど、周りからみたら20代後半から30代に見えちゃう系?
それとも俺の雰囲気がそんな感じなの?
「今の…?何言ってるの?」
二度目の中年女性呼ばわりに内心若干不安になりつつも俺は演技を続けた。
「首にチクッってした…ほらこれ!」
「…知ーらない、おばさん呼ばわりする子に答える義理はありませんー」
女の子?が首を押さえ、下に落とした小さい矢を拾って見せて来たので煽るようにとぼける。
「…じゃあ喋りたくしてあげる…!」
女の子はイラついたように矢を下に投げると大鎌を構え直して纏ってる雰囲気を変えた。
「いやー、怖ーい…」
「…っ…!?」
挑発するように棒読みでそう言うと女の子が更にイラついた様子で駆け出そうとしてつまずく。
…どうやら効いてきたみたいだな。
普通なら1分ぐらいで効いてくるハズなのに…流石は特殊部隊といったところか。
「うふふ…お姉さんをおばさん呼ばわりしたのはこの口?」
「ひはい!ひゃめへ!」
地面に手を付いて大鎌を離してるので、普通に近づいてほっぺを引っ張る。
「全く…こんな女の子が残忍な人殺しだなんて、お姉さん悲しい」
「黙れ!」
ほっぺから手を離してため息を吐き、頬に手を当てて物憂げのような表情をする演技をしながら本音を零すと女の子が叫ぶ。
「…まあいいわ、とりあえず後から…ね?」
俺は頬から手を離して裏拳を叩き込むようにして女の子の背中の一点を殴った。
…ツボ押し拳裏六式 昏倒急。
…これで二人目…さっきのアイツが三人目だったから…残りは何人だ?
「…っ!スイ!」
俺が女の子を肩に担いで歩きだすと後から誰かを呼ぶ声が聞こえる。
「ん?」
「貴様…!スイを離せ!」
声の方を振り向くとまだ若くて結構イケメンな男が剣を抜く。
…あ、面倒くさ…コイツ殺したらダメなやつじゃん。
「…なに?」
男を見た瞬間俺の直勘が反応したのでソレを隠さずに嫌そうな表情をした。
「どうやってスイを…!」
「…この子を返して欲しいの?ほら」
「っ!?」
男が剣を構えたので先手必勝で女の子を下から上に優しく放り投げた。
「甘いね」
「がっ…!」
俺は女の子を投げると同時に距離を詰め…男がキャッチした隙を突いて脳を揺らすように顎を殴る。
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