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「いやー、でも結局はていとがなんとかしてくれたじゃん?結界だけに結果オーライという事で!」


「…今回は、な」


「ぬぐっ!」



俺が言いそうなボケを交えながら雰囲気を変えようとするが、二度目のため息混じりの呟きにショコラは矢印がぐさっと刺さったかのようなリアクションを取る。



「お前らからもなんか言ってやれよ」


「…そうね、今回のは流石にやり過ぎだと思うわ」


「り、リザリー…そんな怖いオーラを出さなくても…」


「そ、そうだよー…」



ようやく動けるようになったであろうリザリーが近づいて来てたので話を振ると、顔はニッコリと笑っていながらも雰囲気はヤバかった。



怒っている時やイラついている時のようにゴゴゴ…!と擬音効果音が付きそうなほどの重いプレッシャーを放っている。



マキナもショコラも引きつったような焦り混じりの笑顔で宥めるような事を言う。



「…いくらなんでもアースクエイクはやり過ぎだろう」


「…全くだ」



さっきまで地面をゴロゴロ転がされて身体が痛むのか、顔をしかめながらハルトとエルーがやって来た。



…あんだけの揺れで転がされてんだからダメージも結構受けてないとおかしいよな。



「…ごめん」


「…まあエルーとハルトの協力と俺の神術でなんとか防げたからいいが、次からは気をつけろよ」



ショコラとマキナがマジで反省してるっぽいので俺はこれ以上二人が責められないように打ち切る感じでそう告げる。



「「「神術?」」」


「…なんだそれ?」


「聞いた事がないワードだな…」



俺の言葉に女性陣がハモりながら反応し、エルーとハルトが不思議そうに聞いてきた。



…因みにエリアは地面をゴロゴロ転がっていた双子を介抱中のため、声が届く範囲にはいない。



「天使達が使う技だよ、攻めるための魔術とは反対に守るためのやつ」



地域によっては法術とも呼ばれてたりするが…ソレはリザリー達に言っても分からなそうなので黙っておくけど。



「天使?この前の?」


「守るための技って…」


「色々と聞きたい事はあると思う…が、説明すんの面倒くせぇから魔術は攻めで神術は守りって事で察しろ」



神術は天界の神語を唱える事でしか発動しないので人間が使うのはほぼ不可能だと思われ。



だから説明も今のが限界なのでマキナやショコラの疑問に投げやりで返す。



「…あの大きい盾みたいのはどこから出したの?」


「…ここで言う召喚魔術みたいな感じで」



別次元、異次元、別世界、異世界にある無機物を分解し…この世界で再構築させた…みたいな?と俺はリザリーの質問に疑問系で答える。



「召喚魔術か…」


「…あれ?程人君って魔術、使えないんだよね?」



神術はまた別なの?とエルーの呟きを流したマキナが問う。



「お前が無茶苦茶するからリミッターを外したんだよ…魔力がありゃ魔術でも神術でも使えるからな」


「ぅ…」



マキナの疑問に俺が責めるようにため息混じりで答えると負い目を感じてか小さく唸った。



「…まああの攻撃を防いだだけですっからかんになっちまったが」


「え?じゃああの結界は?私のアースクエイクはどうやって防いだの?」


「厳密には空間を隔離して周りへの被害を防いだだけで、技自体を防いだワケじゃないぞ?」



俺の呟きに不思議そうに聞いてきたショコラに揚げ足を取るような事を返す。



「…ソレもソレで凄い事なんだが」


「それで、どうやったの?」


「しょうがねぇから血と一緒にハルトとエルーから魔力を奪った」



エルーの場合は血を吸ったわけじゃないから魔力だけをいただいたけど、と説明に補足を加える。



「え、そんな事が出来るの!?」


「…そういえばハルトの首を噛み付いていたわね」


「リザリーずるい!私も見たかった…!」



驚くショコラに思い出したように呟くリザリー、そしてマキナは何故か羨ましがっていた。



「二人分の魔力使ってようやく防げるような規格外の攻撃してんじゃねぇよ…」



俺一人じゃどうにもならんわ…とショコラに反省を促すように告げる。



…いや、魔力さえあれば…マキナのアレで魔力が尽きてなければ、結界じゃなくてもどうにか出来たんだけど…



流石にソレを言うと事あるごとにあんなヤバい攻撃をされそうなので、黙っておく事に。



「「…ごめん」」


「…とりあえずこのボロボロになった地面をどうにかしないといけないわね…」


「確かに…結界で隔離した一帯だけ大地震が来たようにボロボロだと不自然に思われるだろうな」



今度は俺に対して謝った二人から視線を逸らしたリザリー達はボロボロに崩れかけてる地面を見ながらそう呟いた。

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