28

お姉さんのマッサージをした後。



『出来れば今度は予定が入ってない時がいいな…』と、トロンとした目で言われるっていう。



…どうやらお姉さんもリザリー達同様俺のスーパーなマッサージテクに骨抜きになったらしい。



何故予定が入ってない時なのかは分からんが…まあマッサージの後に直ぐ仕事、ってのがアレだったんだろうな。



多分そのまま気持ち良さに身を任せて寝たかったんだろうね。



まあソレはさて置き。



俺はまた生産大陸のショコラ達がいるであろう研究所へと戻って来ている。



まさか昨日の昼前に逃げた場所に、翌日の夕方また訪れようとは…



いやはや人生ってのは何が起こるか分かんねぇぜ。



…まあ用も聞かずに逃げたワケだから何のために呼ばれたのかもサッパリだったんだが。



…どうせハルトに聞けば分かる事だろう…っと、噂をすればなんとやら…



ハルトからの着信が。



…ってかアイツから着信が来るまで洋式便器に座ってケータイを見てたんだけど。



「もしもし?」


「お、おお!繋がった!?…やっと繋がったぞ!」



俺が電話を取るとハルトは驚いたように聞き返し、繋がった事をみんなに伝えてるであろう事が電話越しでも分かった。



つーワケで、俺は電話を耳に当てながら昨日行った部屋へと向かう。



「なんか用か?」


「昨日の事はすまん!アイツらには謝らせるから、戻って来てくれないか?」


「オッケー」



ハルトの必死な頼みに多分みんな居るであろう部屋のドアを開けながら返事をすると…



「「「「「!!?」」」」」



声のする方を振り向いてなのか、みんなが驚いたように俺に注目する。



…いやー、みんなが居て良かった…コレで別の部屋だったら恥ずかしい思いをするところだったし。



「お、サプライズってかドッキリ大成功?」



双子の女の子を含めたみんなの驚いたような顔に俺は疑問系でそう言い電話を切った。



「あ、んたねぇ…戻って来てるんなら連絡の一つぐらい寄越しなさいよ」


「お姉さんから聞いてんだろ?しかも今連絡寄越したじゃん」


「マキナ!」


「うん!」



呆れたように言ったリザリーにそう返してドアを閉め、床に座ろうとしたらマキナとショコラが同時に飛びついて来る。



「おわっ!?」


「捕獲成功!」


「程人君ゲット!」



俺を押し倒した二人はそれぞれ腕を掴んで声を上げた。



…いやいや、そんな希少動物を捕まえたみたいな事を言われても。



「テイト、残念だが…お前への貸しは無くなった」


「は?」


「ジャンケンで勝った私達三人に貸し1ずつ上乗せされるんだ~」



エルーの言葉に意味分からないように返すと右腕を掴んでいるマキナがそう説明する。



「…は?」


「ていとって、ハルトに貸しが10以上あるじゃん?流石にこれ以上は可哀想だな~って」


「どうせ14もあれば十分でしょ?」



更に意味分からないように聞くと、俺の左腕を掴んでいるショコラと目の前に近づいてきたリザリーがそう告げた。



…いやいやいや!いくら可哀想だとしてだろ!



なんでお前らが俺の分を取るの?つーか貸し2だったハズだから三人じゃ…



「ああ、貸しは3になったぞ…くっそぉ~、あそこでチョキを出しとけば…!」



俺の疑問に心を読んだかのごとくエリアが思い出したように言い、悔しそうに呟く。



「…ちょっと待て、じゃあ何か?俺だけタダ働きとかそういった感じ?」


「え…?い、いや…ソレは…」


「…そうなるな」



ようやく事態を理解出来たのでそう聞くとハルトは言い淀み、エルーが納得いかなそうな顔で首を縦に振る。

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