23
「…対人恐怖症だったらしいから、一人でしか性欲を発散出来かったんだろうよ…」
「…俺達が居たのに…一人で抱え込むなんてバカな奴だ…」
「…全くだな…」
カッコよくほんの少し悔しげに呟いた男性に賛同するように俺も頷いた。
…セリフはカッコ良いのに、内容がアレな所為で変態的な意味に聞こえて俺らの変態度が増すという言葉の不思議。
…今更後悔しても遅いが、あの薬中女とヤりたかったなぁ…
病気や薬の副作用による痛みを快楽に変えるための薬を常時服用してたからすっげーエロかったし。
しかも、ずっと媚薬を飲んでるに近いからか常に欲情状態で肩に手を置いたり握手しただけで達してたほど。
そういやあの病気、なんて名前だったっけ…?
…まあいっかとりあえずなんか超長い名前のやつ。
先天性で当時の医療技術、治癒魔術じゃ治らないと言われてたという。
…今はどうか分からないけどね。
治療薬やら麻薬に近いのから媚薬に近いのから…
正に薬漬けと言っても過言では無いほど薬を大量に飲んでいたから、俺たち男の間では薬中女と勝手に呼んでいる。
…いや、アイツは既に死んだらしいから…いた。という過去形になるのか…
「彼女も俺と一緒で君に身代わりになってもらっていたから、もしかしたら君の死を本気にしたのかもしれない」
「…え、ええー…なに?アイツって俺に気があった系なの?」
確かに何度も性交渉はされたけど、ソレは薬による欲情であって…
愛情から来るものでは無かったと思うんだが。
…つーか一度も本番はヤってないんだから好きにもならなくね?
吊り橋効果的なアレなら俺だけに作用するのはおかしいし。
目の前のコイツや他のメンバーにも…
…あ、そういう事か。
好きになった奴が死んで除籍されたり、大怪我して除籍されたりしたから…的な?
おそらく俺が生きてる時にメンバーが死んだってのは聞かなかったから、末期ガンで死んだおじいちゃんおばあちゃんは俺の後に死んだハズ…
…薬中女がおじいちゃんおばあちゃんより先に死んだのか、後に死んだのかまでは分からんけど…
ある程度仲良かった周りがバラバラになって行ったってのを悲観したのかも。
どっちにしろ『あなたが死んだから私も死にます』ってのは重い。
メンヘラなのか病んでたのかは分からんが重いぜ。
「…気があった、かどうかは定かではないけども…君の事を気に入ってたのは確かだろう」
「…気に入られてる程度ならメンバー全員そうだろう?」
全員が一気に揃うって事は一度も無かったが、メンバー同士の仲は良好だったハズ。
険悪ではなかったから最悪でも普通の状態だ。
ミスったらお互いに助け合うんだから嫌でも関係は良好になるさ。
…ソレに変わり者同士、俺を除いて暗殺に優れた者同士の集まりなんだからシンパシーの一つや二つ感じるだろうよ。
アイツ…年中欲情して股を濡らしてる薬中女にとっての特別は俺だけじゃないし…
そもそも俺はアイツにとっての特別では無い。
「…それもそうだな」
「で、あの薬中女の事はさて置き…あんたはなんで除籍されたの?」
…これ以上あの薬中女の事を話すと流石の俺も感傷に浸るというか、悲しくなってきそうなので話を変える事に。
「除籍されたワケじゃなく、任意での除隊だ…その時は既に君が在籍していた時のメンバーは俺を含めて三人しかいなかった」
死ぬ事は怖くないが、任務不達成で殺されるのは嫌だったから…と男は無理やり笑ってるかのようなぎこちない笑顔で言う。
「俺を含めた6人が入れ替わっていたのか…」
いやはや…メンバーが2/3も入れ替わっていたらそりゃ質も違うわな。
しかもコイツの言い方から察するに、実力ってか実績って成績というか…
とりあえず新しいメンバー達は俺を除いたメンバー達よりも劣ってたんだろうよ。
じゃないと任意除隊なんてしないし、あの元上司の司令官が了承するワケが無い。
「あの部隊を除籍した後は諜報部隊に配属させられた」
「…させられた?」
させられたっつー事はあの元上司が色々と手を回してくれた系か?
…まああの元円卓の騎士みたいに裏切られたらアレだしな…
しかも暗殺技術は世界トップレベルだから敵に回すと確実に大変な事になるだろう。
…色々と暗部も知ってるから野放しに出来ないし、かと言って殺すには勿体無い。
だから俺が暗殺科から諜報科に移ったみたいに諜報部隊に移された的な感じ?
「ああ、あとあの二人も同じ部隊にいる」
「へぇ…同じ部隊ねぇ…」
…諜報部隊っていったらリザリーのお姉さんも関係してくるんじゃね?
一応情報管理関係とはいえ今は偉い方に上がってるらしいし。
「…今さっき知ったが、まさかシェリー隊長が君の知り合いだったとはね」
「…世間は狭いからな」
住む世界は広くともお互いに一般人じゃないからねぇ…
闇にいる人間の世間はそりゃ狭いわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます