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最終的にハルトまでも仲裁に入る事になったがとりあえず二人を鎮めた後。
どうせ暇でしょ?とショコラにアッシー君として使われる事に。
なんでも行き帰りを送れば手料理をご馳走してくれるそうな。
そんで量産型ファーストの納入日と納入先は既に決まってるんだとか。
「…で?納品日はいつなんだ?」
「明日」
「へぇ?結構直近なんだな…納品先は?」
俺はダンボールに詰められてる10着の強化外骨格スーツ…
通称『量産型ファースト』略称『1st』を一着ずつ確認しているショコラに聞く。
因みに1stは一着ずつ薄いビニールに包まれて畳まれているらしい。
「えーっと…ミニズマだね」
「ミニズマ?どこ?」
「ユニオンの南側だよ、小さい国だからパッとは出てこないかも」
ミニズマ…ねぇ…なんでそんな名前も知らないような小国にこんな物を納品すんだ?
どうせならもっとこう…ユニオンの最前線とか魔獣被害の大きい地域に納品すれば良いものを…
「なんでそんなへんぴと言うか辺境の小国に?流石に知らない土地には正確な移動が出来ねぇぞ?」
「あー、国が納品先を決める…入札?みたいな事をしたらしいんだけど、お金の代わりにレアメタルでしか払えません…って言われて可哀想になったからだって、よし」
ショコラは俺の疑問に答えると確認し終わったダンボールを閉じた。
「ふーん…って事はレアメタル等の産出国なのか」
「最近大量に採れるってのをユニオンの地質学者が発見したらしいよ?」
それでも小さい後進国だから、輸出は足下を見られて安い値になるらしいけど…とショコラはダンボールを持ち上げる。
「そりゃあレアメタルなんて喉から手が出るほど欲しいってワケじゃ無いしな…主な産出国はユニオンやイグニスだし」
「まあ、ね…でも私達はアレの研究のために大量に欲しいかも」
俺はひょい、とショコラから取り上げるようにダンボールを奪い取り、そのまま後をついていく。
…流石に女の子だけに大きな物を持たせて男が手ぶらで歩いてる、ってのは周りの目が気になるし?
ココで地味に紳士的な部分を見せて好感度を上げねば!
「あ、ラグイーズ所長…どうでした?」
ショコラが研究室…と言うよりも実験室、開発室、裁縫室…に近い部屋に入ると、『主任』という名札を首から下げてる女の人が駆け寄って来た。
「ん、オッケーだったよ」
「良かった…」
「じゃあコレ、持って行くから梱包お願いね」
「分かりました」
俺がせっかく持ってあげていたダンボールをショコラはぶんどるように取ると主任に渡す。
…もしかして俺って要らん事をしちゃった系?
つーか梱包って…ダンボールに入ってんだからもう終わってんじゃねぇの?
「二度手間?」
「違うよー?私達の物は『納品する時には必ず特殊金属製の箱に入れる』って決まりがあるんだ」
リザリー達の所もそうだったでしょ?とショコラは可愛く首を傾げて聞く。
「…いや、見た事無いから分からんけども」
別にダンボールとかでも良くね?なんで特殊金属?
「そなの?」
「ん」
「…あ、そうか…アレとかアレとかアレは大衆向けの一般研究物だったもんね…」
ショコラは何かを思い出したかのように呟くと一人で勝手に納得したのか、うんうんと頷きだす。
え、ええー…アレとかアレとかアレって何?
大衆向けの一般研究って事は秘密の個人研究とかもある系なの?
……あ、そういや魔札や魔石、アンドロイドや人型機械、強化外骨格なんかは個人研究なんだっけ?
…うーむ…そういう俺が昔やってたとかなんとか言ってた研究は機密性が高いから特殊金属製の箱なのか…?
まあ確かに機密物をダンボールや発泡スチロールの箱に入れるのはどうかと思うけども…
うーん…と内心腕組みながら考えてるとショコラが、準備して来る…と自室?に戻って行ったので、俺も素顔を隠す程度の変装をする事に。
さーて…今日はどんな感じの変装にしようかなー?
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