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「ショコラ、お前何を…!?」
「うーん…やっぱりエリアじゃ女っぽいから萌えないなぁ…」
「誰が女っぽいだ!」
困惑したハルトが聞くもショコラは無視するようにボソッと呟き、それを聞いたエリアが声を荒げる。
「…やっぱりハルていかな?」
「…は?なんで俺に振るん?しかも何故ネコ?」
「えー?タチが良いの?…ていハルかぁ…でもまあ平凡攻めもソレはソレで…」
何かを妄想したのかショコラは、ふへへ…という呟きを漏らす。
いやいやいや!タチだろうがネコだろうが相手が男って時点で既に嫌なんですけども!?
というか、なんで急にそんな話になってんの?そしてなんでいきなりハルトを押したの?
「いやいや、俺を巻き込むなよ」
「だってエリアとハルトじゃありきたりで萌えないもん」
「知らねぇよ!!」
「…と言うかなんで俺は押されたんだ?」
がっかりしたように言うショコラにエリアが大声で突っ込み、ハルトが不思議そうに立ち上がった。
「だから…ね?」
「…ね?の意味が分からん…で、なんで俺の腕を掴んだ?」
ショコラはいかにも、分かってるでしょ?的な顔を向けて俺の腕を掴む。
「ちょっとだけでいいから…本当にちょっとだけだから…ね?」
「…だから、ね?の意味が分からんっつーの…!」
両手で右腕を掴み、グイグイ引っ張るショコラの力に負けじと俺は脚に力を込めてその場に踏ん張る。
「えー、ていとなら察してるでしょ?ハルトを押し倒すか…あ、ハルトに押し倒されてもいいよ?」
…こいつ…!目に光が無ぇ…!どこの病んデレの目だよ…!
…しかもこの力の入れようはまさか…!俺をハルトにぶつける気か!?
「おい、ハルト…ショコラに変なスイッチが入ってんぞ、逃げろ!」
「ガッテンだ!」
病んでるようなショコラの目に俺は踏ん張りながらハルトにこの部屋から出て行くよう促す。
するとハルトは短い敬礼と共に懐かしいセリフを口にして走り去るように部屋から出て行った。
「あー、逃げられちゃった…こうなったらエリアをひん剥いて…」
「え?」
…一体なんのスイッチが入っているの分からんが、ショコラにこんな一面があったのか…
「エリア、ちょっと来い」
「え?きゃっ…!」
俺はこの状況を打破すべくエリアに手招きしてから踏ん張るのを止め、引っ張られる力を利用してショコラを押し倒す。
「なんだ…?…んっ!?」
「んむっ!?」
そして膝立ちの状態で不思議そうに近づいて来たエリアの頭を掴みショコラとキスさせる。
「「むー!むー!…ぷはっ!!な、何を…!?」」
エリアの頭から手を離すと二人は全く同じ反応、言動をした。
「いや、衝撃を与えれば直ると思って」
本当は俺がキスしても良かったんだけど…
俺みたいなのが女の子を押し倒して強引にキスするって絵面的にも展開的にも危ないじゃん?
しかも、アホなエリアが見てる前でそんなんしたら誤解されかねんし。
だから百合的でまだ眼福な絵面になりそうかつ誤解を生まないように、エリアを使った…と。
「「直るって何が!?」」
「おお、息ぴったり」
ツッコミ?まで完璧に被った二人に俺は感心したように呟く。
「息ぴったり、じゃないよ!いきなりエリアとキスさせられるこっちの身にもなってよ!」
「ちょっ…!ソレ俺のセリフなんだけど!?」
「うるさい!」
俺に食ってかかって来たショコラの言葉にエリアがつっこむも怒ったようにシャットアウトされる。
「まあまあ、喧嘩すんなよ」
「「誰の所為だと思ってんだ(るの)!」」
「え?そりゃ…エリアとショコラだろ?」
エリアがラッキースケベのハプニングを起こさなければ、ショコラのBLスイッチが入らなかったワケだし?
「「う…」」
俺は悪くない、と言わんばかりにそう説明すると二人は口を閉ざした。
「そ、そもそもエリアがあの時後ろに下がらなければ…」
「いやいや!ショコラが変な事考えるから…」
「だから喧嘩すんなって…」
責任の擦り付け合いを始めた二人に、俺はため息を吐きながら仲裁に入る。
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