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「…コレは…」
わお、本当に凍傷や火傷っぽい跡があるな…にしてもこの怪我っつーか症状っつーか…
皮膚の損傷具合からするとおそらくダルカサシ病だろうよ。
放射能とか電磁波を浴びすぎて身体がおかしくなるっつーやつ。
体温の調整が出来ずに少しの風で凍傷に近い状態になったり、少し触るだけで火傷っぽい傷になったりするっていうアノ。
放って置いたり処置が遅れたりすると身体の中とかまで大変な事になって死ぬらしいね。
「…なにか分かったんですか!?」
俺が町長(仮)の腕を見て病気?的な名前に思い至り呟くと女性が食い気味に聞いてくる。
「…この症状は、おそらく…ダルカサシ病だ…」
「「「ダルカサシ病??」」」
町長(仮)の腕に包帯を巻き、目を瞑り顎に手を当てて思い出すような演技をしながら言うと…
少年達がおうむ返しのように言って首を傾げた。
「…ああ、ダルカサシ病とは…」
名前教えてしまったからには仕方ない…っつー事で簡単に病気になる原因と病状を説明する。
内容はさっき俺が思ってた事と似たような事だが。
「…かなり珍しく、普通の医者は知らないハズ…」
俺でも、知ったのは偶然だ…となにか聞かれる前に先に知ってる理由を言ってから説明を終わらせた。
「電磁波…放射能…この家にはソレと関連する物は無いと思いますが…」
「…もしや…」
女性が俺の言葉を聞いて不思議そうに呟くと町長(仮)がまたしても上半身を起こす。
「…お父様?」
「…強盗に盗まれた、我が家系に代々伝わる家宝が関係している…?…ぐっ…!」
心配する女性をよそに町長(仮)は辛そうな感じで思わせぶりな事を言う。
「お父様!?大丈夫ですか!?」
町長(仮)何かを話そうとして急に顔を歪め、女性が薬を取り出しコップに水を入れる。
「…すまない…」
町長(仮)は女性に薬と水を飲ませてもらい申し訳なさそうにお礼を告げた。
「…もしかしたら、合併症が起きてる可能性が…」
「…どうしたら治せますか?病名が明らかになっていると言うのなら、何かしらの治療法が発見されていると思いますが…」
俺が町長(仮)を見て不穏そうな雰囲気を出す演技をしながら呟くと女性が縋るような目で聞いてくる。
「…残念ながら、この国で治すのは不可能だろう…治療薬はユニオン共和国や、その同盟国…一部の先進国にしか無いと聞く…」
「そんな…ユニオン共和国だなんて…」
「…なんとかならないの?」
首を振りながら言うと女性は落ち込んだように俯き…なぜか少年が俺に無茶振りをしてきた。
ええー…なんとかならないの?って…なんで俺に聞くの?
そんなんは医者か薬剤師に聞けよ。
「…症状を少しだけだが軽くし、進行を遅らせる事なら…」
俺は内心愚痴りつつも一応は女の子のためなので現状維持ならば、可能な事を伝える。
「!?本当ですか!?」
「…だが、所詮はその場しのぎにしか…」
「それでも良いです! 」
困ったような演技をしながら言い淀むと女性は食い気味に声を上げた。
「ナナシさん、どうすればいいの?」
「…必要な、物は…?」
「…とりあえず、植物図鑑を貸してくれ…」
「はいこれ!」
少年達もなんか協力体制に入ってるので、とりあえずこの国に薬を作るための材料があるかどうかを確かめる。
「…サンビカの花とケシ、サルモダの茎とハルザリスの根が必要だ」
「サンビカの花はまだ余ってます」
「それじゃああと三つだね!」
「サルモダとハルザリスは街の花屋に売っているハズです、かかった費用は全額お払いしますので…よろしくお願いします!」
町長(仮)を看病しないといけないから今は家から出られないのか、女性は情報を伝えると頭を下げてお願いした。
~~~~~~~~~材料収集中~~~~~~~~~
とは言え…花屋で買って、街から少し歩いた所にあるケシを採っただけ、だから30分もかからなかったけど。
そんでもって、材料を調合して薬を作る。
…まあおよそ3時間ほどで薬は完成。
俺が豪邸で薬を調合してる間、少年達はギルドの依頼をこなしてくる…と出て行った。
「…コレで、およそ一ヶ月分といった所か…保存は、日の当たらない冷暗所が良い…」
俺は大きなビンいっぱいに詰まった液体を女性に渡しながら説明する。
「!ありがとうございます!」
「…一日一杯、量の目安は、このビンに貼られてる紙を見るといい…」
かなり苦くて変な味がするから、覚悟しておく事だな…と俺はベッドに横たわっている町長(仮)に告げた。
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