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木を少年に斬らせ、余った木材でローラーを作って木材を運びながらの帰りにまた例の濃霧が発生。



視界を遮られてる少年達は植物型の魔獣にかなり苦戦してたが、少し進んだら直ぐに晴れてから多分自然現象だろう。



まあそんなこんな道中の植物型の魔獣や普通?の魔獣を撃退して豪邸に戻りましたよ…と。



「…はい」


「依頼の品を持って来たんだけど…」


「!直ぐに開けます!」



インターホンを鳴らし、少年が依頼された木材を持って来た事を伝えると直ぐに門を開けてくれる。



「わあ…!ありがとうございます!」



玄関前の段差の所で待っていた女性は木材を見るやお礼を言い、しゃがんで触り始めた。



「この木で当たってるよね?」


「はい!この手触り、この匂い…間違いないです」



少年が確認を取ると女性は直ぐさま頷く。



「…どこに、置けば?」


「あ…すみません、中にお願いします」



俺が聞くと女性は立ち上がって誘導するように玄関のドアを開ける。



「よいしょ、っと…」



少年が4枚、女の子が3枚、残りは俺が肩に担いで女性のあとをついて行った。



「…ココにお願いします」


「分かった」


「…っ、しょ…」



女性は壊れた壁の所で止まって頼んだのでそのまま床の上に置く。



…わお、この壊れ具合はすっげー…壁一面割れてんじゃん。



これ、もう壁に穴が空いてるとかいうレベルじゃなくね?



壁一面壊すとか…ただの強盗に出来る仕業じゃねぇな。



「ココが強盗に壊されたっていう壁?…酷い事をするなぁ…」


「…酷い…」



壁の壊され方について疑問に思ってると、少年と女の子が眉をしかめる。



「…一体何が目的で壁を壊したのか…」


「…ゴホッ、ゴホッ…」


女性が悲しそうに呟くとどこからか咳の音が聞こえてきた。



「!お父様!」



すると女性は直ぐさま何処かへ走って行く。



「俺たちも行こう!」


「…うん…」


「…分かった…」



少年が心配したように言うのでとりあえず女性の後をついて行く事に。



「ゴホッ、ゴホッ…」


「お父様!大丈夫ですか!?今、お薬を…!」



咳の音が聞こえる部屋に入ると包帯グルグルの男がベッドに横たわっている。



女性の今の発言、さっきの発言、展開的に考えたら強盗に襲われた父親だろうな。



「……おお、リゼ…その方達は?」



水と一緒に薬を飲んだ男は俺たちを見て女性に尋ねた。



…まあいきなり見知らぬ人が3人も増えたら聞くのも当然だよね。



「先ほど話した私を助けてくれた方達です、どうやらギルドに所属していたらしく…依頼を請けて貰いました」


「ゴホッ…それはそれは…ありがとうございます」



女性の説明を聞いて包帯グルグル巻きの父親…



多分この街の町長であろう男は上半身を起こしてお礼を言う。



「あ、いや…当然の事をしただけだから…」


「…そう言ってもらえると助かります…」



少年が照れたように返すと町長(仮)は上半身をベッドに倒す。



「…お父様は…強盗に襲われて怪我を負い、原因不明の病まで…」



俺たちが黙ってると女性がなぜ町長(仮)がこの状態なのかを説明する。



「…症状は…?」


「それが、医者にもよく分からないらしく…皮膚には凍傷や火傷のような損傷が見られると…」



へぇ…?まあ知ってるような知らないような…とりあえず見てみるか。



俺が聞くと女性が答えてくれたので町長(仮)に近づき左手の包帯を一部取った。

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