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ギルドに行くと、良くある紹介がうんたらかんたらだったのでソレは飛ばすとして…
ザックリ言うとギルメンは4人+依頼で出てる人が一人らしい。
しかも依頼で居ない人はこの国ではそこそこ有名な奴だとか。
たしか、二つ名持ちで…なんつったっけ?
…えーと…剛腕のリズミルとかそんな系。
人が集まればほとんどの確率で居る、身の丈ほどの大剣を使う奴だと。
まあそんなのは置いといて。
とりあえず少年がギルメンの人々と握手を交わし終えると早速依頼を受ける事に。
「…えーと…家の壁を直したいのに木材が足りないんだって」
「…買えば?」
「…市場に出回ってないのか…?」
少年が受付嬢から受け取った紙に書かれていた内容を読み上げ、俺と女の子が不思議そうに聞く。
木材ぐらい自分で買えんだろ、壁を直して欲しいならともかく…
なんで俺らがいちいち買って持っていかにゃならんねん。
「…確かに…」
俺が内心愚痴りつつもポーカーフェースを貫いてると、少年は賛同するように呟き首を傾げる。
「…市場には出回ってない珍しい木材だそうです」
詳しくは依頼人の方とお会いになれば聞けると思いますよ?と受付嬢はニコリと笑った。
「…そうだね、とりあえず行ってみようか」
「…そうだな…」
「…ん」
受付嬢の笑顔にキュン、と惚れそうになると同時に少年が話を振ってきたのでとりあえず頷いてみる。
…ふう、危うくギルドの受付嬢を好きになるところだったぜ…
まあ美形レベル上の下の中のお姉さんにあんな笑顔を向けられたら仕方がないかもしれんが。
顔面偏差値でいえばどれくらいだろう…75くらいかね?
リザリー達が95ぐらいで、女神達が100だから多分そんな感じかもな。
…俺は女性に聞かれたら反感を買いそうな失礼極まりないかもしれない品定めの考えを内心でしつつ、外面では黙って少年についていく。
そして歩く事10分。
紙に書かれた依頼人との待ち合わせ場所へ到着。
「うわあ~…大きい…」
「…豪邸…」
「…凄いな…」
豪邸と言える大きな家の前で少年と女の子が驚いているので俺も一応合わせた演技をした。
…まだメイドと子供達が住んでる別荘の方が大きいかね?
多分あの別荘はこの豪邸の1.5倍~2倍ぐらいは大きいだろうよ。
当社比…というか個人比で言えば。
もしかしたら俺の目測が間違ってて大きさは同じぐらいだったりするかもしれないけど。
「…押すよ?」
何故か少年は俺と女の子を振り向いて確認を取るも返事を聞かずにインターホンを押す。
「…どちらさまですか?」
リンゴーン!という音が鳴ると少し間を空けてから女の人の声が聞こえてくる。
「あ、俺たちギルドから依頼を受けて来たんですけど…」
「まあ!やっとですか!今開けます」
少年がそう告げるとインターホン越しの女性の声が嬉しそうになり、通話が切れた。
すると目の前の2mを少し超える鉄門が豪邸の内側に両開きする。
「…これは入って良いって事だよね?」
少し待っても誰も出て来ないので少年が不安そうに振り向いた。
「…ああ…」
「…誰も、出てこないから…行くしかない…」
俺が頷くと女の子が少年に中に入るよう促す。
「良くぞいらっしゃいました!……え?」
「…あ!!」
石像や噴水のある広い庭を抜けて豪邸に良くある大きめのドアを開けて玄関に入ると…
そこには漫画の展開とかにありがちな『さっき助けた女性との仕事での再会』である。
女性は出迎えの言葉を言うと少年を見て驚き、少年は驚きながら失礼にも女性を指差した。
「…さっきの…」
「…偶然とは恐ろしいものだ…」
女の子も少し驚いてるようなので俺も合わせる。
…豪邸に驚いたと思ったら、今度は再会での驚きかよ…
流石は主人公属性だ、俺だったら数年に一回あるかないか…の展開をこうも早く起こすとは。
「…依頼人…?」
「…あ、すみません…良かったら中へどうぞ」
「あ、うん」
女の子が首を傾げて聞くと女性(外見予想18~20歳)は思い出したかのように豪邸の中へと招く。
「…ココでお待ち下さい」
応接間のような場所に通されると女性は部屋から出て行った。
「…この依頼人、町長の娘って書いてあるけど…」
「…ふむ…この豪邸を見る限りでは…」
少年の紙を見ながらの呟きに俺はわざと辺りを見渡しながら返事をする。
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