32
「やられたわ!」
俺以外が満身創痍の状態でギルドに戻るとなんかバタバタしている。
「なにか、あったのかな…?」
「あ!戻ってきた!」
受付に行くと戻ってきた俺らに気付いたギルドメンバーの一人が声を上げた。
「!?大丈夫!?」
その声で俺らに気付いた美人なお姉さんが心配したように近寄ってくる。
「俺とメルトは大丈夫だけど…」
「…出血は多かったが、傷は浅い…二、三日すれば動けるようになるハズだ…」
少年はそう言って包帯が巻かれてるおっさんを見たので俺が怪我の程度を伝えた。
「…マーセル炭鉱で何があったの?」
「組織のメンバーが…それより、何かあったの?」
美人なお姉さんが険しい顔で問うと少年が状況を直ぐに理解できるような一言を言うと聞き返す。
「ジキミナ洞窟とマーセル炭鉱に戦力を割いてる隙を突かれて街が襲撃されたの」
「なんだって!?」
「…だが、大した被害は無かったようだが…」
「…街の様子は、普通だった…」
美人なお姉さんの報告に少年は驚き、俺と女の子は冷静に思い返すように言う。
「街が襲撃されてる、という報告を受けて直ぐに私達が戻って撃退したわ」
それで、今さっきジキミナ洞窟を見張ってたメンバーが奴らが倒されたと報告があって…と美人なお姉さんは歯をギリッ…と鳴らしながら続ける。
あれ…?炭鉱に目当ての物があったんだから洞窟には何も無いハズだけど…
もしかしておっさんが言ってたあの鍵が必要なのが本当にあった系?
「…戦術が、上手い…」
「…黒騎士は?洞窟に居たの?」
女の子が敵を褒めるように呟くと少年が美人なお姉さんに聞く。
「いえ、居なかったわ」
まあそうだろうな…旧時代の遺物で空間移動してんだからそんな所に居るわけねーべ?
「…とりあえず私は洞窟の様子を見に行く」
「…じゃあ俺も…!」
「その怪我じゃ足手まといよ、貴方達はゆっくり休んでなさい」
美人なお姉さんがそう言うと少年がついて行こうとするが却下された。
「…なら…俺が、一緒に行こう…」
まだ敵が居るかもしれない所に美人なお姉さんを一人で行かせるわけには行かないので、俺は同行を申し出る。
「…でも…」
「…大丈夫だ…足は、引っ張らない…」
「…分かったわ、じゃあついて来て」
美人なお姉さんは躊躇するも無傷な俺の言葉を聞いて同行を受け入れた。
「…頼む…」
「…うん」
俺は少年におっさんを預けて急ぎ足で建物から出て行ったお姉さんを追いかける。
「…あの廃坑で何があったの?」
小走りで洞窟に向かってる美人なお姉さんに追いつくと振り向いて聞いてきた。
「…話せば、長くなる…」
どこから話せばいいのか、とか考えるのも面倒なのでとりあえず俺はそれとなく質問に答えない方向へともって行く。
「…なら洞窟に着くまででいいわ」
「…分かった」
微妙に妥協っぽい事を言われたので、俺は面倒くせえ…と思いつつもとりあえず端折りながら説明する。
あ、説明してる場面はカットで。
大して面白い事を言ってるワケでもねぇし。
引き伸ばし…とか言われたら嫌だしね。
…とまあ、そんなこんなで説明してる間に洞窟へと到着。
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