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「ごほっ…な、ナナシさん…何を…?」


「…アレは今の少年では勝ち目がない…」



見た感じあのバンダナは結構強そうなので今の少年じゃ勝てないだろ。



ソレに…前に俺と会った事があるって言ってたんだからそれなりの実力者である可能性も高い。



俺と知り合って生きてる男で弱い奴ってのはあんまりいないし。



しかも魔眼持ちだしなぁ…一番厄介な時停眼じゃない事を祈ろう。



まあトキトメと言っても時空神クロノスみたいに時間そのものを停めるワケじゃなく…



せいぜい指定した万物の動きを一定時間停めるだけだけど。



流石にバンダナが契約した悪魔が悪魔将軍ぐらいだったら俺にも魔眼の効力は有効なんだよね。



…変装を見破るってのは悪魔や俺の実力に関係ないと思うけどさ。



とりあえず結構な実力者?で魔眼持ちの奴にこの少年が勝てる可能性はゼロ。



おっさんどころか女の子でも勝てないと予想。



「…俺もyouとは戦イたく無いンだがナ」



バンダナは俺を肩を竦めるように言う。



「…そうか…」


「坊や、アイツはコレに任せてワイらはアレと戦おうやないか」


「…そろそろ…くる…!」



最後の合成魔獣が倒され、おっさんが少年の腕を掴む。



…こりゃ丁度良いな、俺の今の戦い方をバンダナに見せずに済みそうだ。



なんせ昔の俺は魔術なんて使えなかったし今みたいに使えるようになるなんて思ってもみなかったし。



「フ…お手並み拝見といこウ」



俺と睨み合いしてるように見せてバンダナは俺の後ろの歯車ロボットを見ている。



……俺も見たいではあるが…流石に怪しまれるから無理か。



どうせ見てても多少ストレスが溜まるだけだから別に良いけど。



バンダナも戦う様子が無いので俺は目を瞑って音だけで後ろの状況を把握しようとした。



「くらえ!爆炎剣!火竜斬!火炎翔!烈火破衝!」



声だけしか聞こえてないから状況が良く分からんがとりあえず少年が押してるように思う。



…あんだけ魔術複合の剣術を使って女の子やおっさん達と連携が取れてんのか?



いつもはおっさんや女の子が敵から離れた隙に技を使っていたけど…



ここまでコンボみたいに連続してやるのは初めてだな。



女の子やおっさん達の叫び声が聞こえないだけに、少年が厨二全開で叫んでるような風景が浮かんでくる不思議。



「中々ヤるようだナ、良い連携ダ」


「…そうか」



バンダナの言葉から察するにおっさん達との連携は取れてるらしい。



初っ端から畳み掛けるように攻めてるんだから思いのほか早く終わるかも。



「…衝破絶空撃…」



珍しく女の子の声が聞こえたと思えばズズン…!と何かが落ちたような音がする。



「…あの動キ…どこかデ…」



探るような声に目を開けて見ればバンダナが薄ら笑いを引っ込めて、真面目な顔になっていた。



「コレで終いや!殴打連撃ぃ!」



おっさんがネーミングセンス無さげな技名を叫ぶと何かが崩れるような音が。



「よっしゃ!どんなもんだ!」


「…!そうカ…!思い出したゾ!メルティア!確か、シルフィア公国のメルティア・ダウナーじゃないカ!」


「…っ…!?」



バンダナはようやく思い出せたのか立ち上がると驚いたように告げる。



シルフィア公国…?シルフィア公国って確か…ユニオン大陸の南側…



その昔は南アメリカ大陸とか呼ばれてた場所にある小国だよな?



この国からかなり遠い場所だぞ…?



なんでその国の奴がココに…?



「嬢ちゃん?」


「…?メルトどうした?」



少年とおっさんはバンダナの言葉を流してたのか、女の子の様子を見て不思議そうに近づく。

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