23

「…ホントだ…みんな野宿でもしてるのかな?」



野宿て…まあ地下だから雨風は凌げるだろうな。



「…あそこ…行くしか、ない?」



一通り見終わった後に女の子が奥に建ってる神殿を指差す。



「…そうやな」


「他に居そうな場所とか無さそうだし」



女の子の提案に少年とおっさんが賛同し次の行き先が決まった。



「…これは…」



神殿に近づくにつれ建物の周りの異様な雰囲気を徐々に感じる。



…神殿の周り…入り口がある半円の場所だけ地面の色が違う…?



真正面の迷路のような庭園を避けて左側をから入ろうとしたが…ココで俺のスーパーな直勘が働いた。



「…マズい、これ以上は…」


「え?…うわっ!」



周りの薄茶色とは違う、肥料のような濃い茶色の地面を踏もうとした少年の襟首を掴んで後ろに引っ張る。



「ゲホッ…ど、どうしたの?」


「…アレを見ろ…」



俺を不思議そうに見る三人に少し先の穴が空いてる地面を指差す。



「「…穴?」」



…ありゃ多分バンダナか別の奴が罠かどうかを確かめるために岩かなんかを投げたんだろうよ。



「…おそらく、この茶色の場所は落とし穴だ…」


「「!!?」」


「って事は…結局あの迷路みたいな所からしか入れないって事?」



驚く二人とは違い少年は謎の洞察力を働かせた。



…お前たった今落ちそうになったんだから驚けや。



内心呆れながらも迷路のような庭園の入り口に向かう。



「…これ、は…!」


「派手にやらかしてくれたもんや…」



迷路に入って直ぐの所に壊された石像が。



おそらく動いて侵入者を倒す役割があったんであろう石像は無残にもバラバラに。



だが…コレやあの穴を見る限り、ほとんどのトラップはバンダナか誰かが先に解いてくれてるらしい。



ここらへんがゲームと現実の違いだな。



ゲームじゃ先に敵が待ち受けてたり先に入ってるにも関わらずトラップが全く発動していない。



でも現実は先に入って行った敵にトラップが発動して、俺らみたいに後から入るとほぼ明らかになってるっつーね。



まあゲームはプレイヤーを楽しませるためだから…



そこらへんの多少の矛盾はしゃーねえか。



…とはいえ、まだ発動されてない罠もあるハズだ。



それが激○葬とか硫酸の溜ま○た落とし穴…万能地雷グレ○モヤじゃない事を祈ろう。



特に激流○なんて発動されたらほぼ全滅やわ。



まあ流石にこんな迷路のような庭園にそんな水を使ったのはあるわけないかね。



神殿の中ならあっても不思議じゃあないけど。



「一応まだ未発動の罠があるかもしれん…ここは慎重に進むでぇ」


「…ん…」



おっさんが少年を追い越して自らが先頭に立って進み始める。



流石に罠に警戒しながら慎重に進むも迷路のような造りなのでスムーズに出口には辿り着けなかった。



20分ほど迷ってようやく迷路のような庭園を抜け、神殿のような建物の入り口へ。



…遠くから見た時は高さが20mほどだろうと予想したが…



結構高ぇぞ…目測30m…いや、33mだな。



「…この柱…石じゃない…コンクリート…?」



俺が高さを測ってると女の子が柱を触っている。



「コンクリートやてぇ?…こんな地下にそんなん…ホンマや、コレ…コンクリートや…」



某芸人のようなリアクションをしたおっさんは柱を軽くコンコンと叩いて材質を確かめた。



「…人間が作ったのに、間違いは無さそうだ…」



地底人や宇宙人がもし存在してたとしてもコンクリートを使うってのは想像できねぇし。



…まさかこんな所にもコンクリートなんてなぁ…



昔からコンクリートジャングルによるヒートアイランド現象がどうのこうの言われてるのに…



こんな地下でもコンクリートの建物ですかい。



…ってアレ?



ちょっとした引っかかりを覚えた俺は一旦神殿から離れる。



…マジかよ、この建物…コンクリと石の複合建築?



離れた所から見て驚愕の事実が判明。



「?どうしたの?」


「いや…どうやらこの建物…石とコンクリートで造られてるようだ…」


「「え!?」」


「なんやて!?」



いやはやこの三人が驚くのも無理はない。



こんな地下空間でこんな珍しい建物はお目にかかれないからな。



ピラミッドやスフィンクスでさえ石で造られてたと言われているのに。



あっと…スフィンクスは岩を削ったんだっけ?



まあそこらへんはいいや。



とりあえずいつ造られたのか分からないコレが中々に近代的な造りなのにびっくりだよ。



こりゃ罠も…本気で激○葬やグ○イモヤがあったとしてもおかしくないぞ。

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