15
またしてもアッパーカットのボディブローで吹っ飛ばされたが…
そうやすやすと同じ愚行を繰り返す俺ではない。
くるんと反転して壁に着地し、激突しての追加ダメージを避けた。
「…仕返しだ…っ…!?」
重力で下に落ちる前に壁を蹴って飛び人造人間に飛び蹴りを食らわそうとしたがひらりと避けられ…
足を捕まえられてぶん投げられるというカウンター技をされるっていう。
まあ当然空中でくるりと反転して着地したからダメージはないけど。
「…なんて危ねぇモンを造ったんだ…当時の俺は」
もはや別人のように思う昔の自分を責めながら目の前の人造人間をどうするか対策を立てる。
「なっ…にぃ…!?…がはっ!」
結構な距離を一瞬で詰められての前蹴りを避けきれずに食らい地面を転がった。
…動きを目で追って認識出来た所で、速すぎて反応がついていかねぇ…!
流石にハルト、リザリー、エリア、マキナを倒しただけあって…
この人造人間、くっそ強くて今の俺じゃ相手にすらならないかも。
正直今までの攻撃って一撃必殺レベルの威力だし。
魔物じゃなきゃ最初の一撃を食らった時点で瀕死、勝負ありだったよ。
「…追撃しないのが幸いか…」
ショコラ達にそういうプログラミングでもされてるのか、この人造人間…一撃入れると様子を伺っているように少し間隔を空ける。
「…しゃあねぇかな…っ!ぐっ!」
無銘に手をかけた瞬間人造人間が目の前に現れて殴って来たのでなんとかギリギリで両手をクロスしてガード。
…避けるのは無理でもガードぐらいなら攻撃にもよるが可能かね。
ムーンウォークのごとくかなり後ろに地面を滑らされたけどなんとか体勢は保てた。
「っしゃあ!こっからは俺のターンじゃあ!」
様子を伺ってるのかただ立ち尽くしてるのか…
とりあえず棒立ちの人造人間に向かって走り無銘を抜く。
「なぬっ…!?」
俺の攻撃にピクリともしなかった人造人間を無銘で斬ろうとしたが、薄皮一枚のような手応えからそれ以上食い込まない。
グリンと今俺に気付いたように首を動かすと回し蹴りを放つ。
「ぐぬっ…!!」
なんとか右腕でガード出来たがやはり吹っ飛ばされ右腕が粉砕に近い複雑骨折のように折れる。
「…なんてこったい…」
あの強度…おそらく俺が身体能力をフルにしたとしても斬れないぞ。
フルにして思いっきり刀を振り下ろした所で今みたいに薄皮一枚程度にしか食い込まないだろうし…
マキナやショコラに教えた刀の峰に蹴りや打撃を与えて力を加えて斬る方法を使っても無理だろう。
…なんだあの強度は…?…はっ!そうか!
「がっ…!」
思考中に人造人間に接近されて太ももにローキックを食らい、あまりの威力にその場で一回転した。
ドサッ…とその場に落ちると直ぐに立ち上がり普段の倍ぐらいの距離を取る。
…多分アレだ、蜘蛛の糸の細さで120kgぐらいなら吊り下げても大丈夫ぐらいのヤツが束になってるから強度が半端ないんだよ。
しかもソレが筋肉のように伸縮してるってんだから…理論上は身体能力が人間の20~30倍だっけ?
…実際に戦うと正に手も足も出ないな。
いくら化物級に強いと言っても、マキナ達は人間、俺は生物の域を出ない。
だがアレは…
「っ…!そこだぁ!」
普段の倍ぐらいの距離を取った事が幸いして初めて人造人間の攻撃を避け切れた。
「ふっ…見切った!」
普通の倍ほどの距離を取れば人造人間の攻撃をなんとか避けれるぞ!
今までの攻撃からおよそ15~20mぐらい距離が空けばギリギリで避けられる事を発見。
…逆算すると、俺の超人的な反応速度を持ってしてもソレだけ距離を空けないと避けられない…という事になるんだが。
普通に考えるとそこいらの奴と戦ったらおそらくこの人造人間の間合いは100mぐらいじゃね?
…いやまあソレが分かった所で…
どうやって倒すんだよ!コイツ!
守りのやり方は…っとお!分かったけども、攻めのやり方は打つ手無しじゃねぇか。
人造人間の攻撃をすれすれで避けてまたしても間合い?の外に出る。
「うーむ……とりあえず無銘はしまっとくか」
少し考えて七転抜刀どころか七天抜刀さえもあの強度の前では通じなさそうなので動きを身軽にするため無銘を鞘に納めた。
…で、これからどうしようか?
幸いな事に近隣住民達の避難は済んでいるため俺以外の標的に移る事はない。
だがいつまでもこんなイタチごっこを繰り返してたら俺も持たない。
「…ふぅ…とっ!」
息を吐いて人造人間の攻撃を避けまた距離を取る。
…あっちは機械だからイタチごっこをずっと繰り返すのは平気だしなぁ…
兵器だけに、なんちゃって。
ごめん、怒らないで。
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