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「もしもし?本家の方は潰したからさ」
家の裏側から塀を飛び越えてソコから離れるように歩きながら藍架に電話した。
「え、早すぎない?」
「まあ式部にも手伝ってもらったしな」
「…式部?式部って、あんたの友達の式神使いの?」
「ああ、うん…あのド変態ね」
友達、っつー言われ方に引っかかりを感じるが否定してもアレなので補足も付け足す。
「そういえば、私の友達にも式神使いが居るんだけど…」
「その友達の彼氏で当たってるよ」
どんな質問がくるのかほぼ予想できるので先に答えを言う。
「あ、やっぱり?…でもあんな変態みたいなのが彼氏かぁ…」
この前の防衛庁での出来事でも思い出してるのか苦笑気味に呟く。
「藍架はもっとマトモな男を探せよ、なんなら俺で妥協しとけば?」
「…あんたは私の知る中で一番マトモじゃないからパス」
冗談混じりとはいえ、割と本気で告ったのに割と本気で断られる。
「ひでぇなぁ…」
「血の繋がった実の姉を割と本気で口説いているのを見ると程君もかなりレベルの高い変態だと思うのだが…」
藍架に笑って返すと式部が笑えない冗談を言ってきたので当然シカトした。
確かに俺は変態だ。
他の人に変態と言われても否定は出来ない…が。
式部のようにレベルの高いドが付く変態では無い。
世に広まっている『変態』とはつまり『変態性欲』の略であって…
男が女に欲情するのが異常っつーのはあり得ないワケで。
血の繋がった実の母親や姉、妹でも自分のストライクゾーンに入れば好きになって欲情するのも仕方がないと思う。
だって男が女に欲情するのは生物としての本能っしょ?
だったら、生物である以上異常ではない!と信じている。
…アレ?良く考えたら俺は変態じゃないんじゃね?
「まあともかくご苦労、じゃあ家で」
自分が変態なのか否かを疑問に思ってると藍架が会話を強引に打ち切ってきた。
「おう、ご褒美楽しみにしてるぜ」
一応雰囲気に合わせた返事をして電話を切ったものの実家に帰る気は無い。
この国の敵、妖怪である俺がいつまでも敵?のテリトリーに居とくワケにはいかないから。
「んじゃな、今回は助かった…とも言えなくない」
ぶっちゃけ場所さえ分かってたら俺一人でも楽勝だったから、式部は居ても居なくてもどっちでも良かったし。
「そうか、こちらからすれば大いに助かったと言えようぞ」
「そ?ならお互いwin-win…持ちつ持たれつ?ギブアンドテイク的な貸し借りゼロっつー事か」
…win-winって口に出すと恥ずかしいな…
これからは持ちつ持たれつ、ギブアンドテイク的な言葉だけを使お。
その後。
式神の馬に乗る式部と別れ、人気の無い路地で別荘へと影移動。
おっと…そろそろあいつらにも電話しねぇと…
「「あっ、おかえりなさいませ」」
「おう、ちょっとアレするから例の部屋に集まって」
「かしこまりました」
電話を耳に当て、呼び出しのコールを聞きながら出迎えてくれたメイド達を部屋に集めるよう指示。
「もしもしー?」
「おー、マキナか?電話した?」
「あー、程人君か…うん、でももう解決したから…忙しい時にごめんね?」
何の用だったかは知らんがどうやら俺が異国でなんやかんやしてる間にお役御免になったらしい。
「いやいや、これからも真っ先に俺を頼るんじゃなくて自分達の力で解決するようにな」
「あはは…分かった、頑張る」
お前もな!っていうツッコミを期待してボケたのにボケと受け取ってもらえず、言葉の意味をそのまま受け取られたっていう。
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