10
「魔導研究者のカルネーバって奴分かる?」
「魔導研究者…のカルネーバ?ソレってカルネーバ・ステリニグの事?」
名前だけ聞いたら何故かフルネームで返ってきた。
「そうソイツ」
「ん~…調べたの?」
「は?」
知らないから聞いてるのに、調べたの?とか聞かれてもなぁ。
今回のマキナには話が通じねぇな…と頭を掻くと予想外の言葉が。
「だってカルネ君って私達の元カレだし」
「は…?私達…?」
「うん、私と付き合ってたのはもう3、4年前になるかな…?その後直ぐにリザリーと、次にショコラとも半年は付き合ってたよ?」
え、ええー…なにソレ…?
俺が知りたかった情報と全然違うってか、元カレとか結構知りたくない部類に入る情報だよね?
「ってかなに?お前ら彼氏も回してんの?」
彼氏まで共有するとかいくらなんでも仲良しにも程があるだろ。
「んーん?飽きたからフったらリザリーが興味を持って拾って、ソレでショコラも興味を持って…みたいな」
飽きたからフったら……なんだろうこの心にクるような悲しさは。
俺の事じゃないのに…全くの他人の事なのに想像したらアイツに同情してしまう。
「…どんな奴なの?」
最初と違った別の意味で俺も少しソイツに興味を持ってしまったんだが。
「外見は昔からあまり変わらず未だに少年っぽいかな?」
「へぇ?俺も名前と肩書きしか知らないけど、そうなんだ」
「え?そうなの?…元カレって知ったからじゃないんだ…」
…なるほど、だからさっき調べたの?って聞いてきたワケか。
いやいや、いくら俺でも幼馴染の交際履歴を洗ってナニカするほど狂ってねぇよ。
「で、ソイツはどんな研究をしてたんだ?」
「あ~…良く覚えてないけど、実験動物云々だったと思う」
実験動物…って事は生物系の研究か。
魔導系+生物系の研究は嫌な予感しかしないな。
だがあのゴーレム以外にもアイツのペット色々いそう、って分かっただけでも収穫有りだ。
…つーか明らかに電話する相手を間違えた感が否めねぇ…
後でリザリーかショコラに電話しよう。
「情報提供ありがとよ」
二度手間か…と思いつつもマキナにお礼を言う。
「いえいえ~…あ、そうだ…程人君愛してるよ~」
彼氏居る女の子からまさかの言葉が!
「だから…ね…?」
どう返して良いか分からず軽く困惑してるとマキナが期待を持たせるように聞いてくる。
こ、コレは…!ベッドインのフラグが…!?
「私と一緒に死んで♪」
ドキドキしながら次の言葉を待ってる俺に予想通りと言うか…
展開的には予想通りでも俺的には予想外の事を告げられた。
しかも、嬉しそうに声を弾ませているあたり余計に恐怖を感じる。
「…ごめん、今は無理」
「今じゃないよ~?私が死にそ…あっ!」
「誰?」
突然声を上げたと思えばリザリーの声に変わった。
「あたしゃだけど」
「…程人?珍しい、あんたがマキナにかけてくるなんて…でも間が悪かったわね」
「ああ、失敗したと思ってるよ…けど薬の効果で精神的にどんな風に変わってるか興味があってな」
電話越しに、リザリーずるい!私が話してたんだから返して!って聞こえるんだが。
「で?どうだった?」
「ん~…かなり病んでるっぽい、病的な歪んだ愛ってのかな?」
「…あなたが死んだら私も死ぬ、あなたを殺したら一生私のモノ…一緒に死んでくれなきゃ殺すよ?とかそう言った類かしら?」
…おおう、マキナが言ったセリフとほぼ合ってやがる…流石、良く理解してんなぁ。
「ほぼ同じセリフを言われたよ」
「そう、精神的に少し不安定になるのかしらね」
「アレで少しっつったら普段結構病んデレ気味じゃねぇか…」
思い当たる節は無くもないが、不思議系のマキナだし…
本気なのかどうかが微妙。
「女の子は不安に弱いのよ」
「女に限らず男だって不安には弱ぇよ…っと、そろそろマキナが暴れ出しそうだから一旦切るわ」
電話越しに聞こえてくるトーンが徐々に下がってきてるので、これ以上はリザリーが危ない。
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