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「…仕事を長引かせてしまって悪かった、お詫びに夕飯でも奢らせてくれ」



夜も遅いのにまだギルドに居たって事は多分俺を待ってたんだろう。



でなければいつもは閉まってる時間に開いてるワケがない。



「あら、じゃあ遠慮しないわよ?」


「…ああ、だが酒を強制するのだけは止めてくれ」



俺の提案にニッコリと笑うのでこの前の事を思い出してそう言った。



この受付嬢のお姉さん…酒にかなり強いようだが、酔えば無理矢理にでも酒を勧めてくるってば。



いわゆる絡み酒ってやつ?



まあ一晩でウイスキーを10本開ける時もあるらしいし…結構な度数のやつをストレートでそんだけ飲みゃあねぇ?



酒好きな人は誰だって酔うだろ。



あ、ストレートってのは氷や水を入れずに酒オンリーの事らしいよ?



んで、氷を入れる事をロックって言うんだと。



水割りはそのまま水割りじゃねぇかな?



ドアに『close 酒場に居ます(ハートマーク)』と書かれラミネート加工された物を下げて酒場に移動した。



…鍵をかけないのは受付嬢がまた戻って来るから。



どうやらいつ何時誰が来ても対応出来るようにギルドの二階に住み込んでいるとの事。



まあ普通はギルドマスターとかがそういうのをやってくれるんだけどね。



規模が小さいからこのギルドにはマスターは居ないのかな?



「うふふ…大きい依頼は全部片付いたし、ナナシさんの奢りだから今日は飲むわよ…」



嬉しそうに笑いながら酒場へと先行している。



…あーあ、こりゃ飲むってか呑まれるな…確実に。



どんなに飲んでも二日酔いしないって体質だからこそ言えるし出来る事だけどさ…



絡まれる俺の身にもなってくれよ。



気づかれないようにひっそりとため息を吐くと酒場に到着した。

































































翌日。



大した依頼もなく野菜の収穫や配達の手伝いといった小さい依頼を終わらせてギルドに戻ると…



知らん奴が二人椅子に座っている。



「あら、お帰りなさい」


「!?ルディさん達帰って来てたの!?」



少年は二人を見るや否や走って近づいて行く。



「はは、ミルディ元気にしてたか?」


「俺たちが居ない間に色々あったんだって?」



…この流れから察するに多分、ギルドのメンバーなんだろう。



「…おっ、ルディとメリサじゃないか…護衛の依頼は上手く行ったのか?」



俺がどうしたものか…と対応に困ってると、青年が遅れてギルドの中に入って来た。



「ええ、まあ…そんなに強い魔獣とかは現れなかったですし」


「カールさんの方は大変だったらしいですね」


「なに、お前らが居なくても問題は無かったさ」



青年のブラックジョーク?に二人が、酷いっすよ!と立ち上がり俺以外のみんなが笑う。

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