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よし、効果が出始めたか。



「ちょっとコレを見てて」



ペットボトルを二本を座ってる女の子の両目の高さに合わせて見せた。



女の子は良く分からないような表情をしながらも素直に二本のペットボトルを見る。



「…ほーら…ね?……はい、出来た」



ゆっくりペットボトルを動かすと女の子も目でその動きを追う。



少し動かしたところで女の子の目がトローン…となった。



「…何をしたの?」


「ん?軽い催眠状態ってやつ?コレで質問された事にはなんでも答えるよ」


「あんた催眠術まで使えたのね…」



リザリーは何故か呆れたようにため息を吐く。



「漫画とかアニメみたいな本格的なやつは面倒だからやらんけどな」



それに…女の子を催眠状態にして自分の意のままに従わせるなんて俺の趣味じゃねえし。



あんなのリアルに見た目も心もキモくて汚いクズのような人間失格の糞野郎にしか出来ないだろ。



女ってのは頑張って落とすのが楽しく、その努力した分嬉しいっつーのに…



催眠術で落とした所で別の奴に寝取られるか、落とした女の子に刺されて死ぬかのどっちかだぜ?



BAD END以外の終わり方が無いって。



俺が考えてる間にリザリーは女の子に色々と質問している。



「…聞きたい事はコレで全部よ」



そう言ってリザリーが女の子から離れたので…



「おはよう」



パチン、と俺は女の子の頬を軽く叩いた。



「…っ…!…え…?ココ…は?」



女の子は急に意識が覚醒したように目に光が戻って頭を押さえる。



「思い出せるかい?」


「…あ、はい…飲み物、ご馳走様でした…」



目の前で手を振ると急に立ち上がって軽く頭を下げてお礼を言う。



「…なるほど、捕まった時は催眠術を駆使して逃げるってわけね」


「いや?そんな面倒な長期戦なんてしねぇよ?」


「え?」



結構答えに自信があったのか否定すると驚いたように聞き返した。



「俺の場合は捕まったら敵に嘘の情報を教える」


「嘘の情報?そんなの…」


「確かに普通はそんなの鵜呑みにはしない…だからそこは演技力だ」



嘘の情報を本当の情報だと思い込み、死にたくない!と大声で叫ぶヘタレでチキンな役を演じる。



そして嘘発見器にも引っかからず、自白剤を使われても大丈夫なぐらい本当の情報だと思い込む。



「でも、ソレじゃあどうやって逃げ出すの?」


「あらかじめ味方が待ち伏せしてる場所を敵に教えて…罠が仕掛けられてるから安全な道を案内する、と言って同行する」



後は味方が敵の部隊を全滅させて、殺した死刑囚を俺が変装してた顔に整形させて敵部隊の死体と一緒に放置。



「…確かに死体があればアイツの情報が正しいから一緒に消された、って疑われないわね」


「あの時の俺らは常に味方や自分が捕まった時の作戦を立ててたからな」



って言っても味方が捕まりそうになったら俺が助けてたから、俺以外が捕まるってのもあんまり無かったが。



だってほら、俺って演技上手いじゃん?



だから他の奴らが捕まるよりは逃げ出し易いって事で…尻尾切りのごとく捕まってた。



まあソレを応用して敵を誘き寄せるエサみたいなのもしたけど。



一応所定の位置に敵を連れて行ったら味方が助けてくれてたからプラマイゼロ的な?



「嘘の情報を与えての脱出って目から鱗の作戦だけど…絶対にあんた以外難しいと思うのだけど」


「だから味方を庇って俺ばっか捕まってた」



情報を吐かないから拷問される、ならペラペラ喋っちゃえば痛い思いとかしなくて済むじゃん。



「あの…なんの話を…?」


「いや、なんでもない…この女の子はどうなる?」



不思議そうに見ている女の子に手を振ってリザリーに質問する。



「さあ?捕まえた経緯までは知らないわ」


「じゃあ俺が引き取っても良いか?」



調停者にこの女の子の処遇を決めてもらわないといけんし。



「…どうするの?」


「異国に連れて行く、その方が過ごし易いだろ?」



流石に姉や妹に面倒みてもらうワケにはいかんからあのド変態あたりに頼むかな。



あいつには婚約者だか恋人がいるからその人が面倒みてくれるかも。



…ならその人に頼んだ方が早いか。



「あ、あの…」



本人そっちのけでどんどん話が進んでいった。

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