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長さ57mって言ったけど別に胴長ではない。



例えるなら…熊が四つん這いになってる的な?



見た目はサイと熊とカバあたりを足したみたいな感じだけど。



そうそう、このベヒーモスは悪魔の方のベヒモスとは似て非なるアレだよ?



アレと名前が似てるけど…あっちは冥界の七大魔王直轄将軍の一体であって、こっちはこの世界の魔物で魔王軍の一員だからね?



いや、どうでもいい事だけど一応補足しとこうかと思って。



「よう、ハロー?ご機嫌いかがだい?」


『んぬ?…ふん、負け犬ふぜいが何の用だ』



目の前を通りがてらに挨拶すると鼻で笑われた後に嫌そうな声で返された。



「別に?ただ通りかかっただけだよ、邪魔したな」


『待て、ココは我の縄張りだ…我が物顏で通れると思うな!』



ベヒーモス隊長は威嚇するように咆哮し俺に対して喧嘩を売る。



「そうくると思って土産を持って来てやった、俺らは一応同じ軍なんだから穏便に済ませようぜ?」



正直な話、今の俺は平常モードなんだから戦っても勝てるんだけど…



その後が色々と面倒だからねぇ…とりあえずパス。



『ふん、負け犬なだけあって媚を売る事しか脳が無いな…いいだろう見逃してやる、そのゴミを持ってサッサと失せるがいい!』


「え、このゴミ…俺が引き取るの…?」



俺は地面に倒れている男を指差して呟く。



…まだ微かに息があるから生きてるっぽいけどさ…



なぜ俺がこんな命知らずのゴミ(見た目14歳♂)を処分しないといけないワケ…?



『エサはたった今手に入った、もうそのゴミに用は無い』



…か、会話が通じねー…



………はぁ…まあとりあえずこんな所に捨てて置くのも迷惑だし、ここは心優しい俺がしょうがなく引き取るとするか。



女の子とかだったら大歓迎だったんだけどなー…



荷車をその場に置いて倒れてるゴミ(見た目14歳♂)の服を掴んで引っ張り奥へと進む。



…さながら無理やりゴミを回収するボランティアでもさせられてる気分だな、おい。



ゴミ(見た目14歳♂)をズルズル引き摺りながら進む事20分、目的の場所に到着。



「う…こ、こ…は…?」



材料を採取してるとゴミ(見た目14歳♂)が目を覚ましたようだ。



因みに手当ては一切していない。



死んだらそのまま火口に投げ入れて処分するつもりだったし。



「っ…!お、もい…だし、た…!」



ゴミ(見た目14歳♂)が持ってた斧を杖代わりにして立ち上がる。



それと同時に採取が終了。



「あな、たが…おれ、を…?」


「あ?ゴミは黙ってろ」


「がっ…!」



イライラしてた俺はゴミ(見た目14歳♂)の問いに腹パンで答えて沈め、服の襟を掴みまたしても引き摺って次の場所に向かった。



次に向かう場所はこのハザードボルケーノの地下で、なんとココとの気温差が約30℃近くになる。



今の火口の気温が体感的に50℃ぐらいかな?



砂漠並みではあるが、まあいつもよりは多少涼しい方だ。



なんたって暑い日は70℃超えも珍しくない。



もはや表現が暑いから熱いに変わる。



だけど地下はマグマや溶岩の温度の影響を受けないからか比較的過ごし易い涼しさになってたり。



深さによって温度も異なるが…地下の最深部の気温はほぼ一桁。



しかも寒い時はなぜか氷点下まで冷え込んだりする不思議。



最悪一番上と一番下の気温差が80℃近くにまでなるってば。



まあ俺が今から行く場所は常に20℃前後ぐらいの場所だけど。



今回は地下の最深部に用は無いし。



因みにこんなくそ暑い場所で長袖長ズボンだけど汗は全くかいてないよ?



暑さや熱さ、寒さや冷たさには慣れてるからねぇ。



「お、ここだ」



俺は火口から少し離れた場所にある小部屋?的な囲まれた空間に移動した。



この部屋?的な場所の端には大穴が空いていてこの穴に落ちたら地下の最深部までノンストップ。



つまり死ぬ。



そこで、ポーチから小瓶を取り出し液体状のスライムを出して穴にポイっと投げる。



後はゴミ(見た目14歳♂)を持ってジャンプ。



丁度目的のフロア?深さ?でスライムがトランポリンのようなクッションとなってくれた。



…火山の頂上からこの地下までわずか6秒。



まさに瞬間移動のごとく移動時間を短縮。



いやー、最強のスライムが完成してて良かったわ。



応用力が抜群ですっげー重宝するし。



さてさて…ココにはそう強い魔物や魔王軍の魔物はいないから手っ取り早く済まそうか。

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