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「そうだけどさ…私達にとってのお母さん代わりはお姉ちゃん達、でも父親はおとーさんしか居ないワケじゃん?」


「…なんでアイツらは姉で俺は父親なんだよ」



見た目的にも分かるかもしれんがアイツらの方が俺よりも年上だぞ?



実年齢で言えば20代も中盤から後半だし。



…見た目は20代前半の全盛期だけどな。



「だってお姉ちゃん達はなんか母親って感じじゃないし…おとーさんはほら、たまに厳しいから」


「厳しいってだけで父親扱いかよ…まあ不本意ながら慣れたけど」



一応戸籍上はあの時に母親にするべき奴なんて居なかったから親は俺だけの片親設定になってはいる。



だって母親をメイド達の誰かにしようとしたら話し合いだけで三日三晩続いたんだぜ?



ただの上辺だけの設定だから誰だっていいのに…



「…本当の親なんて…止め止め!今回は何処に行くの?」



キリは俯いて呟くと自分の考えを払拭するように頭を振って顔を上げた。



「何処に行こうと俺の自由だろ」


「むー、教えてくれたっていいじゃん」


「…とりあえずはハザードボルケーノかな?」


「…?…!ソコって危険度Sのアノ!?」



少し何かを考えたと思えば急に食いついてくる。



「ん、ちょっと欲しい材料があんだよ…じゃ」


「いやいや待ってよ!ソコって生きて帰れないって言われるぐらい物凄く危険な場所なんだよ!?」



木に刺さってるナイフを引き抜いて手を振るとキリが焦ったように走ってきた。



「世間一般での認識はな、俺ぐらいともなるとそこら辺を散歩するのと大差ねぇよ」


「…確かに、よくよく考えたらあのおとーさんだもんね…心配するだけムダだったかも」



だからどのおとーさんだよ、もしかしてコイツには街中で知り合った別のパパとかいるのか?



お金を貰う代わりにご奉仕します…的な。



……キリも年頃だし欲しい物もあるだろうからありえない事は無い…



が、あのメイド達が教育してるんだからそんな事は無いと信じたい…!



「とにかく俺はもう行く、ココの事はメイド達に任せてある。それにお前やライナも居るだろ?」



何かあれば飛んで来るから下の子達の事は任せたぞ…と言いキリに背を向けて手を振り森の中に入って行く。



はぁ…ムダな時間を過ごしてしまった…本当ならば今頃材料を収集してるハズだったのに。



俺はそのまま5分ほど森の中を歩き、キリが追って来ないのを確認して折りたたみ…(以下略)活火山地帯に影移動する。



…直接火山に影移動しなかったのには理由があってだな。



火山の中に棲んでいる魔王軍の魔物との戦いを避けるためにお土産を持って行こうというワケだ。



なんせハザードボルケーノとかマントルワールドとかに棲んでる魔物は基本戦闘部隊だし。



あいつら魔王や魔王の六体にバレなければ大丈夫!って考えで軍の同士でもお構い無しに襲ってくる。



当然襲うのは戦闘部隊に所属してる魔物以外だが。



そんで結構偉くなった俺にも関係なく襲ってくるだろうから平和的に交渉しよう…と。



山の麓に生息してる魔物だか動物だかを適当に狩って持ってけば争いは避けられるだろうよ。



つーワケで適当に狩り開始。




……


………ゆし、コレぐらいで良いだろう。



たった今木で作った自家製の荷車に狩った動物やら魔物やらの死体を乗せ、いざ火山へ。



「グオオオ!!」


「ぐあああ!!」



最短ルートを一時間ほど歩き、火口一歩手前の所でイベント発生。



まさかの魔王軍第二戦闘部隊のベヒーモス隊長が人間と戦闘中。



因みにベヒーモス隊長の体長は長さ52m縦15m横幅7mのモンスターサイズである。



下手したら二階建ての一軒家と同じぐらいのデカさだ。



普段は四つん這いなのに二本足で立った時の威圧感たるや…半端ないっす。

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