26
「グオオオオ!!!」
…なんてこったい、魔法陣から原種のドラゴンが召喚されてるよ。
…げ、まさか魔物と契約を結んだのか!?
賢者でさえ使えない契約の魔術を使えるとは…
伊達に魔導師を名乗ってるワケじゃねぇな。
『主は…!あの時の…!?』
…しかもこのドラゴン、もしかして俺がこの前解体したやつ?
「俺の事を覚えてんの?珍しいなー」
『ふん…我を首だけにし、ソコから治した人間を忘れるワケがない』
「だから、人間じゃねぇって」
間違い無い、あの時のドラゴンだ。
…え?だったらなんで召喚されてんの?
「くくく…!この、ドラゴンの、心臓が、我と、リンクして、いるのだ!」
「兵達、下がりなさい!私がやる」
お姉さんがドラゴンに手を向けると青い火柱が立った。
「なっ…!」
だがドラゴンが翼を動かして風を起こし青い火柱を吹き飛ばす。
しかもドラゴンには傷一つ付いていない。
「は!はは!愚かな、その、ドラゴンは、我が、強化して、いる!この、マジック、スケイルは、いかなる、魔術も、無効化、するのだ!」
「く…!」
おっさんの声にお姉さんが顔を顰める。
「ふーん、まあドラゴンはシカトでいいんじゃね?別に無理して相手する必要は無いって」
「あ…」
なんか俺の言葉を聞いて目から鱗、のような反応をされたんだけど。
「は!はは!じゃあ、どうする、つもりだ?」
「てめぇをバラバラに刻めば死ななくても動けはしないだろ?」
そのまま土に埋めてやるよ、と笑い無名を軽く振って近づく。
『避けろ!!』
「は?うおっとぉ!」
ドラゴンの鳴き声が聞こえたと思えば尻尾が飛んでくる。
なんとかしゃがんで避けたが、危なかったぁ。
「くく!愚か、者め!その、ドラゴン、の心臓、には、禁魔術が、施して、あり…我の、意のままに、操れる、のだ!」
「ふーん、禁魔術ねぇ…ソレは手の込んだ事を」
なんで優位に立ってる奴ってこうもペラペラとネタをバラしてくれんのかね?
バラしてもどうにも出来ないとか思ってんの?
「グオオオオ!!」
「おっと、っと」
ドラゴンは吠えながら噛みつこうとしたり、尻尾を振ってきたりの攻撃をしてくるがソレをひょいひょい避ける。
…炎を使わないのはドラゴンのなけなしのプライドとあいつがまだちゃんと操り切れてないからだろう。
「なあ、最後に一つ聞いていいか?」
攻撃を避けながらおっさんに質問した。
「よか、ろう」
「なんでそんなにネタバラシしてくれんの?」
昔からの疑問を解消したいからとりあえず聞いてみることに。
「は!はは!知れた、事よ!どうしようも、無い、現実に、顔が、絶望に、染まる、のを、見たい、からだぁ!!」
「そ、ありがとよ」
良く分からん理由だが…まあ長きにわたる疑問は解消できたかな?
まあ用心に越した事は無いと言うが…アレを持って来といて良かったわー。
「なあ、お前操られてるらしいぜ?」
『…どおりで体が我の意思に反して勝手に動くわけだ…!』
「…10秒だけでいいから動きを止められるか?」
『知らぬが、やってみよう』
グオオオ!と吠えたらドラゴンの動きが止まる。
「な…!なぜ、止まる!?」
「ナイス、暫く寝てな!」
俺はドラゴンの後ろに回り背中の一点を思いっきり蹴飛ばした。
ツボ押し脚裏六式『昏急』。
「ガ…カ…!?」
ボキボキ!と足の骨が砕ける音がしたがなんとかツボ押しに成功したようでドラゴンの巨体が倒れる。
「な…!?武器を使わずにドラゴンを倒した!?しかも一撃で!」
「あり、えん!!」
「よいっしょ!」
うつ伏せの状態で倒れてたドラゴンを頑張って仰向けにした。
「…急いでこいつら外に出してくれる?」
「は、はい!兵達!急いで全員外に出すんだ!」
お姉さんに頼むと兵達を指揮して素早くおっさんやら議会の人達やらを外に出す。
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