36
「チャンスねぇ…」
俺が土の塊とか石をぶん投げて、ソレに当たっただけで死ぬくせに何がチャンスだよ。
…ふぅ、勘違いしてると思うけどさぁ。
「もらったあ!!」
兵士が振り下ろした剣を俺は指二本で挟んで受け止めた。
人差し指と中指で挟んで止めてやったわ!
「な!」
「残念でした~」
そのまま頭を握り潰して剣を奪う。
いや、素手ならイケるとか勘違いも甚だし過ぎ。
こんな普通の剣だったらすぐに壊れそうだが…まあ一振り使えれば十分か。
剣の柄を握るとバキバキ…!と柄が砕ける音がしたが気にせず横一文字に薙ぎ払うように思いっきり振る。
その数秒後には俺の視界に写ってた奴らは全て動かぬ屍に早変わり。
当然剣は圧力などの力に耐えきれずに砕けたよ?
「…へんじがない。ただの屍のようだ」
見通しが良くなった平原を歩いてると、またしても前の方から棘みたいなのが飛んで来た。
「うおっと」
今度のは小さくて細長い…本当に棘みたいな土の塊。
縦10cm横3cmの円錐形ぐらい?
そんなのが何十本も前の方から飛んで来る。
とりあえず受け止められる分は受け止めた。
えーと……22本か。
持てる分を両手に抱えながら歩いてると誰かと戦ってるショコラの姿を視認。
「おーい、手伝うかー?」
おそらく声が届くぐらいの距離まで近づいて声をかける。
「そっちは終わったの?」
「楽勝で、つーかたまにお前の魔術が飛んで来てたぞ」
「ありゃ、ごめんごめん」
周りを良く見ると隆起した地面やらで平原らしからぬ地形に変わっていた。
…荒野とか山岳地帯のようになってんだけど。
地形を変えるほどの戦い方って…まさに土竜のごとくだな。
俺が更にショコラに近づいたら戦ってた相手が警戒して距離を取る。
…ふーん、三人か。
「コレ、返す」
両手に抱えるようにして持ってた土の棘をショコラの隣に落とした。
「わざわざ持ってきてくれなくても良かったのに」
「必要になると思ったんだけどな」
はあ…とため息を吐いてショコラの後ろを通り過ぎる。
「?どこ行くの?」
「お前の邪魔にならないようにそこいらの雑魚を片付ける」
「別に心配しなくても大丈夫、邪魔してもどうせ直ぐに殺せるし」
「そうか、じゃあ俺は何すればいい?」
掃除を断られたら特にやる事が無くなるので、他に何かないか聞いてみた。
「ん~…じゃあ座って応援してて」
善意で聞いてやったのに邪魔者的な扱いを受けるっていう。
「よしきた」
俺は頷いてショコラから離れる。
ソレを合図にまた雑魚みたいな兵士+3対1の戦いが始まった。
なんで相手が俺たちが喋ってる間に攻め込まなかったのか?
っつーのは多分あの三人が俺の只ならぬオーラを感じとったからかもな。
今は力を抑えてるワケじゃないから変なお面をしていても分かる奴には分かるだろ。
逆に言えば力を抑えてる間はその分かる奴でも分からなくなる…って事だけど。
「フレー、フレー、が・ん・ば・れ!フレー、フレー、が・ん・ば・れ!」
100mぐらい離れた所に座り、ただ見てるだけなのも暇なので本当に応援する。
「フレー、フレー、が・ん・ば・れ!フレー、フレー、が・ん・ば・れ!…フレー、フレー、が・ん・ば・れ!フレー、フレー、が・ん・ば・れ!」
喉を痛めないぐらいの音量に調節しながら声を出す。
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