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「なぜですのぉ?」


「式部は今みたいに式神とヤりまくってる方がお姉さんに取って都合が良いから」


「あてに…?今まで迷惑でしかなかったけどなぁ」



何言ってんだコイツ?みたいな目で俺を見る。



「んじゃその利点をコレから説明するよ」



第一に浮気をしない…かな?



ほら、式部は顔も性格も良いから性癖さえ…その変態性さえ除けば女の子が寄ってきそうじゃん?



だから今まで通り式神とヤらせておけば女の子は絶対に進んで仲良くなろうとはしない、つー事で浮気をする可能性がかなり減ると。



顔も性格も好みに変えられる式神があるんだから式部から女の子に寄って行く可能性はほぼ無いし。



ソレに…お姉さんの立場だってかなり楽になるよ?



こんな変態と付き合う、結婚するって事になったら…



みんな同情するか尊敬?的な目で見てくれると思う。



普通恋人とか出来たら意味不明に嫉妬とかする奴がいる思うけど、相手がこんなクソみたいな変態だったら絶対に嫉妬されないって。



だからみんながみんな好意的に接してくれるハズ。



んでもって…なんで?とか質問されたら


『土下座してプロポーズをされたから』

『一生独身じゃ可哀想だと思ったから』


とか言っとけば式部へ向けられる男共の敵意も減るよ。



一応嘘は言ってないだろ?



ソレを言うことによってお姉さんの評価が男女問わず上がるかもね。



「とまあこんな所かな?」


「…あてにはメリットしかありまへんなぁ」


「俺の扱いが酷すぎやしないか…?」



説明を聞き終わった式使のお姉さんが喜ぶような笑顔になると、それとは対照的な表情で式部が呟いた。



が、当然シカトだ。



「…にしても、あんさん頭良すぎますなぁ」


「そうか?…多分普通よりは良いんじゃないかね」


「普通はソコまで考え付きまへんて…」


「あ、でも一応ポーズ的に式神とヤる事を咎めとけよ?」



芸人の押すなよ!押すなよ!的な感じではあるが、入れとかないと不自然さに気付く奴もいそうだし。



「…なんでココまで協力的なんですのぉ?」


「女を幸せにさせるのに理由がいるか?」


「程君は相変わらずの女狂いだな」


「てめぇにだけは天地がひっくり返ろうとも言われたくねぇ言葉だ」



なんでこんな性行為依存症だか中毒者にそんな事を言われなきゃならんねん!



「あんさん…本当に妖怪?人が良すぎて本気で疑うレベルですわぁ」


「人が良いのは女にだけだ、ソレに…恩は売っといて損は無い」


「いつもながら余計な一言だぞ」



ワザと好感度を下げるために言ってんだよ。



式使のお姉さんと俺が浮気だか不倫だかする事態は避けたいし。



「さて…本題だか式部、コレは貸しだぞ?」


「ああ、分かっている…俺の出来る限りならなんでも言うことを聞いてやろう」


「じゃあ早速…俺はそろそろ異国から離れるからその間の藍架や愛梨、家族の事を頼みたい」



主に藍架の事なんだけど、危なっかしい状況に陥らないように…陥ってたとしたらなるべく助けてやってくれ。



「くっくっく…どこまでいっても女絡み…か」


「女こそが俺の正義だからな、あと愛梨や母さんが万が一でも政府に目を付けられたら知らせてくれ」


「分かっている……まさか潰すのか?」


「当たり前だろ、俺の家族に手を出す奴はどんな手を使おうと潰す…覚えておけ」



予想外に冷たい目と声になってたらしく、式使のお姉さんが少しブルってた。



「あんさんのそのギャップ、恐ろしやぁ」


「例えお姉さんでも俺の家族に手を出せばタダじゃ済まないからね?拷問に近い調教をしてあげる」



式使のお姉さんの方を向いて最後らへんをウインクしながら言う。



「大丈夫だ、程君の家族には手を出さん…式神で我慢だな」


「藍架か?愛梨か?母さんか?本人に手を出したら去勢すんぞ」



式部のアレを指差してチョキを閉じるような動作をしたら、バッと素早くあそこを押さえる。



「…とりあえず、お腹空きましたねぇ」


「んじゃパーティ会場に戻りますか…」



話がひと段落?した所で式使のお姉さんがお腹を摩りながらボソッと呟いたため、俺らはパーティ会場に戻った。

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