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横に飛ぶと同時に藍架に背を向けて逃げるように走り出す。
「…!待て!」
「逃げるが勝ちってなー…」
まるで鬼ごっこのように藍架から逃げる。
当然、逃げてる最中に妖怪や忍者(男)をすれ違い様に斧で斬り裂いて行く。
直線で走るのではなく、急に曲がったり建物の屋上に上がったりなど…捕まりにくいような走り方をして戦場を駆けた。
そんな鬼ごっこを続けてる内に気づけば妖怪も忍者も残り少しまで減っている。
そして残ってる忍者は女のみ。
最初は20名近くいたのに…今は藍架を合わせてもたったの5名しかいない。
「ちょこまかと…!」
「ほらほら、妖怪も残り少ないんだから妖怪を狙えよ」
タンっと家の屋根から降りて妖怪のもとに走り斧で真っ二つに斬り裂く。
「…くらえ!忍法、火炎扇!」
「やば…!?ぬあっ!」
妖怪の所を目指して走り回ってたため、藍架に先回りされてしまった。
俺はとっさに横に飛び転がるようにしてその場から離れる。
藍架が刀を振ると炎が扇状に広がり、俺がさっきまでいた所との間にいた妖怪を燃やし尽くした。
っぶねぇ…全く、忍者は非情じゃなきゃいけないのは分かるけどさ。
こんな本気で攻撃されたら焦るって。
…まあ敵に情けをかけて、文字通り情けない事になるのは誰だって避けたいから本気で攻撃するのは仕方ない事だけども。
はぁ…藍架を敵に回したんだから当然あの約束も破棄されたよなぁ…
家に帰っても命狙われるし、もう俺にはデレてくれないかも。
「…藍架さん、本部から別の場所に妖怪が現れたって連絡が…」
どうやらさっきのが最後の妖怪だったらしいな。
「そう…今の現状を報告して、別の場所から支援を回せるか聞いてみて」
「分かりました」
「そりゃ名案だ、他の所から集まって来てくれるんなら探す手間も省ける」
俺は臨戦体勢の忍者(女)三人を目の前にしながらも笑い余裕を崩さない。
「なぜ…こんな事をするの!?」
忍者(女)の一人が辺りに転がる死体を見て俺に質問した。
「あなたは私達の味方だったんじゃないの!?」
「そーだよ?」
「なら…なぜ!?」
「俺は女の味方であって…男はどうでもいいんだよね、だから君たち女の子は殺さなかったじゃん」
昨日?の忠告は脅し半分の意味合いで言ったんだから…
女は性奴隷に調教して欲しい人に売る、とか本気でするワケないよ?
そんな事したら……面白いではあるけど流石に女の子達がねぇ?
一応快楽に溺れるワケだから…可哀想、とまではいかないがマトモな人生は送れないし。
逆に女の人は快楽に溺れた方が幸せな人生って気がするけどね。
まあ幸せの形は人それぞれなんだから他人が口出しできる事では無いけど、さ。
とりあえず女の子の事を考えるのなら手助け以外に余計な事は何もしないのが一番だ。
「だからって…こんな…!」
「そういえば貴様…最初に愛梨がどうの言ってたな」
「おお、やっと聞いてくれたか!」
もちっと早く聞いてくれると思ってたんだが…別にいっか。
俺の嬉しそうな声を聞いて不快に思ったのか藍架は眉間にシワを寄せる。
「帰りの電車内でな、愛梨が最初ヤンキー数人に絡まれたんだ」
「ソレとコレとどう関係がある?」
「最後まで聞けよ…んでヤンキー達は当然一人を除いて殺したんだが、その後に暗殺部隊?が現れてヤンキーを嗾けた発言をしてな」
「…まさか」
話の途中なのに忍者(女)達の表情が僅かに曇った。
「そのまさかなんだなー…そいつらが愛梨を捕まえて、妹を傷付けたくなければ抵抗しようなどと考えるなよ?とか言ってきやがってよぉ」
あれ?こんな言ってたっけ…?…まあそんな感じの事だから間違ってはないよな。
「ソレにカチンときたから、一般人を守るための忍者が一般人を盾にするなんて本末転倒じゃねえか?って言ってやったわけ」
藍架と忍者(女)達はもう臨戦体勢を解いて、俺の話にうんうん頷いている。
どうでもいい事だったから話の内容はうろ覚えなんだよなー…
多分そんな系な事を言ったハズだ。
「そしたらよー…そいつらが、大多数の人間を守るための尊い犠牲だ。とか吐かしやがった」
「それで愛梨は?」
「ちょっとした手品を使って荷物と一緒になんとか脱出させた」
「「「手品?」」」
まさかの、倒すべき敵を目の前にしてるのに普通に会話してるっていうこの状況。
すっげーカオス。
「閃光玉をピカーっと光らせてそのスキに」
「それ手品でもなんでもない…」
「タネも仕掛けもありまへんってな」
「本部より通達です!支援部隊を何人か回すから現場へ移動せよと!」
忍者(女)の一人が報告すると、思い出したかのようにみんなは臨戦体勢を取る。
「こいつは…?放っておくの?」
「とりあえず、女性に手を出さないのであれば上手く利用せよ、と…」
「ははは、そいつ…考えが甘いよなー」
俺を本気で利用できると思ってんのか?その前に自分達の戦力が削られるって。
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