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尊厳っつーかなんていうか…



明らかに生物性では上位に位置してるから本能的なアレ?



人間でもそういうオーラみたいのが出てるのいるじゃん?



産まれながらにして人の上に立つ才能を有してるやつとか。



見て喋った瞬間にあ、こいつには逆らったらダメだ、従うしかない…みたいな。



王の器って感じ?というか女神ガイアは神様の中でも上位なんだけど。



他の神も頭が上がらない存在だし。



唯一、天界の調停者だけか?



女神ガイアでさえ頭が上がらないのは。



神々のオリジンにしてこの世界を創ったとされる昔の天界のトップ。



創世神ヴィシュヌ。



俺もあの人を前にすると、つい本能的に片膝を着いて忠誠のポーズみたいな体勢になる。



「ぐ…あー、あー、よし」



沈黙が流れて20分後。



ようやく身体が最低限度動けて喋れるぐらいは回復した。



「…治った?」


「まあ一応は」



まだ身体の至る所は痛いし、運動は出来ないけど…



立ったり歩いたり呼吸する分には問題ないだろ。



深呼吸は出来ないが。



「これ、美味しい」


「…超高級のお菓子じゃねえか」



なんとお盆に置かれてるのは一箱25万円もするクッキーだった。



世界一の職人がムダに3日もかけて完成させるという…



一週間で2箱しか販売できない幻のクッキー。



基本的に神々は食事は必要ないので、飲食は嗜好っつーか趣味みたいなもんだ。



実は天界に存在する生き物は食事の代わりに天界に充満する精気や魔力を必要とする。



因みにさっきのベロチューは俺の魔力を奪うため。



神はこの世界に存在するだけで己の魔力が徐々に消費されていく。



神に限らず神獣や妖精、精霊もだが。



つまり…さっきのベロチューが食事で、コレは食後のデザートのようなもん。



お礼と一緒に俺の魔力を根こそぎ奪ったわけだ。



抱き締めたのは限界まで絞り取るためだろう。



ほら、よくチューブとかを限界まで使う時は吸ったりギュッと絞るだろ?



ベロチューは吸う、上半身のプレスは絞る。



お礼と同時に食事も済ませると言う手際の良さ。



別に接吻しなくても魔力は奪えるけど…



その方が手っ取り早く限界まで絞り取れる方法だからな。



別に何も言わないけどさ。



せめて…いただきます。と、ごちそうさま。ぐらいは言って欲しかった。



「もしかしなくてもだけど…力抑えてないよな?」


「まさか死にかけるとは、思わない」


「魔物モードじゃないんだから…っつーか力を抑えないから魔力の消費が激しいんだろ」


「なるほど」



だから、と呟いて納得したような表情を見せる。



「まだ用事はあるのか?あるなら一旦天界に還してまたこっちに来させるが」


「…観光したい、案内頼む」


「はぁ…はいよ…大地神ガイアの仰せのままに」


「その言い方、嫌い」



俺はポーチからスタングレネードを取り出し、ピンを抜いて破裂させる。



そして女神ガイアを一旦天界に影移動させた。



さっき自分の血を飲んだから能力が使えるようになってるんだよね。



「おーい、一旦入って来てもいいぞー」



ドアの方に向かって言うとガチャ…とドアが開きドスンとエルーとマキナが倒れ込む。



当然エルーが下だ。



「い、今までの会話ってホント!?」


「嘘だ、って言ったら信じるか?」


「どっちも信じられないわ」


「あの美人が大地神…ガイア…?」


「また戻って来るけどな…はぁ…まさか魔力を吸い取られるとは…」



俺が呟いて疲れたような表情をすると、三人が一斉にこっちを見る。



「あんたがマジ泣きしたの初めて見たわ」


「号泣だったよね」


「止めに入ろうと思ったが…体が動かせなかった」



三人に可哀想なものを見るような目で同情された…

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