38

「自殺願望が無いならココは引いた方が賢明だナ」


「…でも…!」


「うーん…よし!」



俺は少し考えてポンと手を叩く。



「「「…?」」」



バンダナ以外のハンター達が不思議そうに俺を見た。



「どうせ死ぬんなら俺が楽に殺してやろう」



晴れやかな笑顔で無名を抜いてハンター達の所に歩く。



「「「な…!」」」


「コレで最後だ、帰るか死ぬか…5秒で決めろ」



驚愕したハンター達を尻目に1、2とカウントダウンしながら素振りをする。



「さあ、どうする?」



俺は場に全く似合わない笑顔で無名を突きつけた。



「一旦出直そう」


「…!…帰、る…!」


「そうか」



ハンターの一人が女の子の肩に手を置くと悔しそうに言葉を絞り出す。



ソレを聞いて突きつけた無名を鞘に納める。



「あ、もう俺には関わらない方がいいかもよ?」



もし次襲って来たら…今度こそ、その身体で楽しませてもらおうか。



「~っ…!」



俺の視線に何かを感じたのか女の子は自分の身体を抱くようにする。



「んじゃ、ココでお別れだな」


「なニ、近い内にマた会うサ」


「マジで?そんな予定があんの?」



バンダナの言葉を聞いて眉を顰めた。



「そんなあからサまに嫌そうナ顔をするなヨ、流石に傷付くゾ」


「だってお前、男だろ?実は女でしたとかのドッキリがあるのか?」


「いヤ…完全に男ダ、ただそんナ予感がすルってだけだヨ」


「じゃ、俺は急いでるから行くわ…お前らもちゃんと帰れよー」



ハンターやバンダナに軽く手を振って研究所までの道を全力で走る。










急いで走ったから約5分ほどで着いた。



「はぁ…はぁ…ふぅ…」


「あ…村人Bさん、お客様がいらっしゃってます」



息を整えながら研究所の中に入ると受付嬢が報告してくれる。



「……ああ、ありがと」



来客用の部屋に向かうと部屋の前の廊下にエルー達がいた。



「どうしたー?」


「あ!どうしたじゃないよ!あれ誰!?」

「珍しく銀髪でそれがかなり似合う美人が、お前を訪ねて来たぞ!」

「どんな関係なの?」



近づいて声をかけると俺に気付いた三人が質問しながら詰め寄ってくる。



「まあちょっとな…天界の女神様だ」


「「「あー…」」」



俺の言葉に三人は納得したような声を出して少し離れた。



「どんな話か知らんけど、一応人払いをお願いできるか?」


「できるけど…」


「聞いたらダメなのか?」


「とりあえず研究員達にココには近づかないよう伝えてくるわ」



リザリーは直ぐに受付の所に向かって歩き出す。



「使いも寄こさずに女神直々に来てるからな…ちょっと聞いてみるわ」


「すまんな」


「待たせてゴメン」



謝りながら遠慮がちにガチャ…とドアを開ける。



「ホント、いつまで待たせる気?」


「あー…俺の友達も一緒でもいい?」

「ダメ」


「だそうだ」



半開きのドアに向かって言うとブーイングの後に閉められた。



「もてなしはまあまあ」


「紅茶は美味いだろ?多分あいつらの誰かが淹れたと思うし」



リザリーかマキナか…エルーはこういったのは苦手だから淹れないだろ。



「そう…なんで来たか分かる?」


「いや、皆目見当もつかない…ってかなんで使いをやらないんだよ」



もし冥界の奴らにバレたら面倒な事になるぞ?



流石に魔界の奴らは介入しないと思うけど…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る