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「容赦が無いナ」
「多少痛めつければ口が軽くなるんだよ」
俺は両膝を折った男をうつ伏せに転がして両腕を掴む。
「止めろぉ!!」
「ちゃんと答えれば離してやる…で?薬を盗んだ奴を知ってるのか?」
答えなければ両肩を外す、と横に転がる奴に脅しをかけた。
「知らん!本当だ!一体なんの薬を盗んだんだ!ソレを教えてくれ!」
「なんの薬だっけ?」
「薬じゃなイ…人魔融合細胞ダ」
必死に俺を止めようと叫ぶ男をスルーしてバンダナに聞く。
「なんだソレは…?聞いた事がない」
「そうか、お前は?」
「ぐうぅ…し、知らん…!」
「本当か?」
足に力を込めながら呻いてる奴に確認する。
「本当だ…!この状況で嘘つけるわけないだろ…!」
「それもそうか」
俺はパッと手を離して足を退けた。
「…信じルのカ?」
「どうせあと少しではこいつらの仲間が来るんだから、その時にまた聞きゃあいいだろ」
「今の話は本当なのか!?」
「本当ダ、運搬中の研究員は皆殺しニされて車は大破…数あル研究品の中で人魔融合細胞だけガ無かったらしイ」
転がる男の質問にバンダナが答える。
「なぜ我々の仲間だと分かったんだ?」
「現場ノ近くでヴァンパイアとソレを追いかけるハンターの目撃情報があリ、研究員達は明らかニ斬殺された跡がアったそうダ」
「山賊とか産業スパイの可能性とかは?」
「山賊が舗装路を走る車を壊せるハズが無イ、それに産業スパイだとしたラわざわざ斬殺すル必要は無いだロ?」
確かに…まあヴァンパイアやヴァンパイアハンターなら舗装路を走ってる車でも壊せるだろうな。
盗んだ物が人魔融合細胞と知ったのは殺した研究員に聞いたからか?
「ま、どんな組織もグループも一枚岩ってわけにはいかないからねぇ」
「信頼し合えバし合うほド分かり難いからナ」
「「いたぞ!!」」
うんうん、と頷いてると他のハンター達がやっと到着したようだ。
「ありゃ、君たち懲りないなぁ」
メンバーの中にはあの女の子と包帯グルグル巻きの男の姿が。
「知り合いなのカ?」
「ん~、あっちからしたら因縁深いんじゃね?」
お互いにハンターの動きを注意しながら喋る。
「是非そノ話を聞かせテ欲しいナ」
バンダナは足や胴に付けてる重りをパチパチ外しながら俺に話を振った。
「最初はあの女の子の薙刀をぶった斬って…次に俺の邪魔をしようとした時に服を脱がせた」
「……ハ?」
「諸事情があってあの包帯グルグル巻きの男を殺そうとしたんだけど…あの女の子が前に立ち塞がって退かないから、交換条件を提案したんだよ」
警戒しながらも軽快に話すと包帯男に肩を貸している女の子が俺を睨む。
「交換条件?」
「俺が見てる前で、その男の方を向いて服を全部脱いだら見逃してやるって」
「…ゲスめ…!」
ハンター共の中の一人(女)が吐き捨てるように言う。
「別に痛めつけて嫌がる女の子を無理矢理力づくで犯したわけじゃないんだからさ、まだマシな方じゃね?」
そのあと慰めてもらうためにその包帯グルグル男と甘々な雰囲気でベッドインしたんだろ?
むしろ感謝して欲しいぐらいなんだが。
俺は手を広げてどこが悪い?みたいな態度を取った。
「敵に情けヲかけテどうすル」
「俺にとっちゃ女の子は敵だろうと味方すべき存在なんだよ…」
当然顔にもよるがな、と言い呆れ顔をしてるバンダナに向かって笑う。
「確かニ因縁深いナ」
「あ、まだあるぜ?さっき宿屋で襲われた時に返り討ちにして、また交換条件を提案した」
「あア…だからアイツは満身創痍なのカ、今度の内容は何ダ?」
包帯男を見て納得したように呟く。
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