33
「殺しはしないよん」
「くそ!」
あと一人の男が小型無線機をポケットにしまい俺に殴りかかってくる。
「がふっ!?」
右のストレートを受け止めるようにいなしながら掴み、足を払って背負い投げのように投げた。
「っ…!?」
そのまま倒れてる男の側頭部を蹴って意識を飛ばす。
やっぱり近接戦闘では…いや、ほとんどの戦闘では柔術が最強だよね。
柔道や合気道とか。
相手の力を受け流し、利用しての攻撃。
ダメージを受けずにダメージを与える、と言う理想の頂点的な技。
必要なのはタイミングと経験による勘、あとは直感ぐらいだから俺にぴったりハマってると思うし。
気絶してる男二人の脚を掴んで引きずり、トイレに運ぶ。
そのまま個室に放置してトイレを出る。
あ、公園にいる人たちに見られてたけど…まあ気にしないでおこう。
剣を抜いたわけじゃないからただの喧嘩だと思ってるかも。
「げ…ロープが張られてやがる」
この前にあの女の子達がぶった斬ったベンチや木のテーブルの周りには、立ち入り禁止の紙テープ?と縄のロープが張られている。
うーん…まあいいや、奴らが来るまでココに座っとくか。
今二人倒したから…あと5人。
いや、あの男と女の子を除けば3人だ。
「おオ、ココにいたカ」
立ち入り禁止のベンチに座る事10分。
あのバンダナが歩いて来た。
「渡した?」
「あア、まさかアイリス・ミッシピノが直々ニ出て来るとは思わナかったゼ」
「外見知ってんの?」
「何回か情報ヲやり取リしてルからナ、お互いガ近くにいタ場合は会ウんだヨ」
ふーん…って事はこいつもリザリーの情報網を担う一人ってわけか。
「youと知り合っタ経緯を聞かれたナ」
「話したのか?」
「あア、なんカ怖い笑顔デ肩を掴まれタかラ」
あんな一面モあったんだナ…初めテ知ったヨ、と遠い目をしながら言う。
「おっと、奴らが来るまであと10分はかかりそうだし…尋問でもするか」
よっこらせ、と立ち上がりトイレに向かって歩くと不思議そうな顔をして後ろからついてきた。
「尋問?」
「さっき俺を追っかけてた二人のハンターを倒したんだ」
トイレの個室のドアを開けると倒れてる二人を見てバンダナは顔を引きつらせる。
「公園のトイレに放置とハ…中々エグい事をすル」
「まあ定期的に掃除されてるとはいえ、タイルはお世辞にも綺麗とは言えないからな」
襟を掴んでズルズルと引きづりながら外に出た。
…バンダナが先に来るって分かってたんだから別に外に置いてても良かったかも。
「おっと…起こす前に…」
二人のスボンを剥いでビリっと股の所を破き手を足を縛る。
「徹底してるナ…ソレがyouの強さカ」
俺の縛る様を見ながら関心したように頷く。
「起きろ」
「う…」
「…はっ!」
ゲシゲシ蹴りながら男達を起こした。
「今の所お前らを殺す気はねぇが質問に答えなければ手足を折るぞ」
「貴様は…!」
「くそっ!力を入れにくい縛り方だ…!」
「お前らの仲間が運搬車の中からある薬を奪ったらしい、何か知らないか?」
拘束を解こうと必死にもがくのを無視して問う。
「知らんな」
「知ってても誰が教えるか!」
「いい根性だ」
「がっ…!?ああ!!」
横向きに転がりながらも強がりを言った奴の膝に足を乗せて靴を持ち体重をかけてへし折る。
「見せしめとしてもう片方もいっとくか」
「あああ!!!」
ベキャ…と変な音が鳴り、悲鳴を上げた男の両足が変な方向を向く。
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