26

リザリー達にあの葉っぱや…前ギルドマスターの治療に使った魔界の植物の説明をしてから、早いものでもう一週間。



最近は本当に時間の流れが早く感じるぜ。



そろそろ魔王様が魔界に行ってから一年が経とうとしてる。



いや、まだ一年まであと半年…あるかないかぐらいだけど。



ちょっと早とちりしちまったな。



まだ魔王様が魔界に行って半年ぐらいだったぜ…



まあとにかく…ようやく緑衣の天使、エコー・アルバトロスが落ち着いてきたように思える。



魔王城に戻った時にバッタリ会ったんだけど…



今回は会って直ぐ襲われるって事はなかった。



なんか前は発情期…人間で言う生理的なアレだったらしい。



んで、なぜターゲットが俺だったかと言うと…



魔王城に居る人間の中で比較的まだマシだったからだと。



消去法…いや、まあ、うん。



選ばれた事は嬉しいけど、消去法って知ってなんか悲しくなるのはなんでだろう?



その後、冒険者ギルドのギルドマスターで円卓の騎士である元一位ランカーが研究所に訪ねてきたらしい。



どうやらその少し前にもあの男が訪ねてきたらしいが…



丁度と言うべきか…タイミング良く、その時俺は研究所には居なかった。



だってその時はいつも通りあの公園に居たから。



リザリー達も俺の居場所をチクらなかったから結局会わなかったんだよね。



ま、いつもあの研究所に居るわけじゃないし?



…てめえらのタイミング良く展開が進むと思うなよ!



っと、話は変わるが…ショコラがあの研究所に来たんだと。



当然俺はその時公園に居たから会わなかったんだが。



なんでも…あっち方面で色々と厄介な事が起きそうだから手を貸して欲しいと言われたそうだ。



つー事で俺を除いた三人は生産大陸まで赴いた。



…まじで俺だけハブられてるんじゃないかな?



まさか研究所で働いている女子研究員が、ソレを俺に報告するためにわざわざ公園にまで来るとか…



あり得なくね?



それが3日前の話。



時間的には今日の…朝から昼にかけて戻って来るらしい。



んー…多分そろそろかな?



ショコラも一緒に来んのかな?



とりあえず来ると期待して研究所に行ってみるか。



5年振りに成長した彼女を見るのはすっげー楽しみだ。



リザリーは更に美人に、マキナは更に可愛くなってたからな。



…マキナは不思議系がちょっと入ってるけど。



あ?エルー?はっ、男はどうでもいいだろ。



んー…しいて言うなら更にイケメンになってる…かな?分からんけど。



つーか本当に男はどうでもいい。



「ん?」


「どうしたの?」



俺が研究所に行こうとしてベンチから立ち上がった時になんかの異変を感じた。



「いや…ちょっとな」


「そう、と言うか驚かないのね」


「…ん?そう言えば…いつからいたんだよ」



何かしらの感じた異変を重視してたため、いつの間にか隣にいたリザリーにも驚かず普通に返事をする。



「あんたが立ち上がるほんの少し前かしら」


「声ぐらいかけろや」


「あんたを驚かそうとしたのよ」



一旦立ち上がったものの俺は結局ベンチに座り直した。



マキナといい、こいつといい…なんでこうも人を驚かしたがるのかねー?



「結局はムダだったけどね」


「残念だったな…マキナとエルーは?」


「先に研究所に戻ったわよ」


「ショコラは?」



俺は期待しつつもそれを感じさせないように何気なしに聞く。



「あの子は近い内にまた来るそうよ」


「また来るんかい」



ってか来てないんかい…研究所に行かなくて良かったー。



行って無駄足になるとかアレだからな。



なんかガッカリ感が割り増しするし。



そういう意味ではリザリーが来てくれた事が幸いした、と言うべきか。



「ええ、今度は程人に会いに行く!とはりきってたわ」


「…今回は会わなかったしなー」



なんか俺ハブられてるっぽいし…もしかして都合のいい友達、みたいな感じじゃねえよな?



なんか手伝ってもらいたい用がある時だけしか連絡取らないとか。



ぐおぉ…!自分で言ってて悲しくなるぜ…!



「で、なにがあったの?」


「は?」


「突然現れた私に驚かないぐらいのナニカを感じたんでしょ?」


「んー…まあアレだよ?今はまだ予感みたいな感じ」



ふと感じた程度で…俺のスーパーな直勘に反応したわけじゃなさそうだし。

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