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「で?何か用か?」
「そうよ、あんたが居ない間に色々と面白い事が起きたの」
「面白い事?」
「詳しい事は会ってから話すわ、今すぐ来てちょうだい」
リザリーは俺の返事も待たずに電話を切った。
「…えー…」
「お出かけですか?」
「呼び出しをくらってしまいましたね」
メイド達は面白そうに口元に手を当ててクスクスと笑う。
「は~あ~ぁ…今日はライナの誕生日っつーのに」
「私共が誕生日プレゼントとして、渡しておきます」
「くっそ~…悪いが頼めるか?」
「はい、お任せ下さい」
俺は現メイド長(交代した)に最高級品の剣を渡す。
「あーあ…あの剣は…」
「キリちゃんにですよね?」
「上手く雰囲気をもっていきますので安心してお任せ下さい」
「お前らなら俺以上に上手くできるから心配なんてしねぇよ…あとその剣の扱いも指南してな」
必要ないと思うが、一応メイド達に言うべき事だけは伝えて俺は研究所に影移動した。
「ったく、こっちの事情も知らないで急に呼び出しやがって…なんの用だ?」
影移動したトイレから受付に向かい、リザリー達の場所を聞いてその部屋に入る。
「やっほー、久しぶり!」
「…おいマキナ、人目がある所では抱きつくな」
俺がドアを開けて部屋に入ると同時にマキナが飛びついてきた。
なんだかこいつ、だんだん愛情表現?が過激になってきてないか?
「…人目が無ければいいのかしら」
「嫉妬するのは分かるが、そんな鋭い殺気を向けんな」
「お前も大変だな…」
マキナに抱きつかれ、リザリーに殺気を向けられた俺にエルーが同情の視線を向ける。
なんだこのカオスは………いつものことか。
「で?もう一度聞くけど俺に何の用だ?」
「どうしたの?なんか不機嫌そうだけど…」
「いつもはそんな事は言わないのにな」
俺の態度と言動にマキナとエルーが不思議そうな顔をした。
「今日は子供の誕生日だったんだよ」
「え!??」
「…あんた、まさか…!?」
俺がため息混じりに言うとリザリーとマキナが目を見開いて驚愕する。
「…もしかしてこの前聞いたあの拾い子達の事か?」
エルーだけは顎に手を当てて冷静に考えていた。
「それ以外いないだろ」
「…なーんだ…隠し子的なのかと思ってビックリしちゃったよ…」
「手の早いあんたならやりかねないわ」
「お前ら…俺をどういう風に見てんだよ…」
「「節操なしの女狂い」」
俺の疑惑の目に二人は即答で返し、その声が重なる。
否定できない、否定できないけど…まだ誰にも手は出してないぞ。
メイド達のアレは……うん。
お世話の一貫みたいな感じ?だからノーカンでしょ。
……こいつらには絶対言わないでおこう。
流石に『節操なし』で『女狂い』のダブルな二つ名は勘弁したいし。
不名誉な称号獲得はなんとしても避けねば…!
「てか、いいかげん離れろよ」
未だに俺に抱きついてるマキナを剥がしそこらへんのソファーに座る。
「むー…久しぶりなのに程人君はツレないなー」
「マキナ、そろそろ本題に入りましょうか」
マキナがむくれながらリザリーの近くに行くと、ようやく本題を切り出した。
「やっとか…」
「最近、世界を賑わした出来事があったのは当然分かるわよね?」
「は?」
「「「…え…?」」」
俺がリザリーの言葉に聞き返すと、マキナ達に予想外…みたいな反応をされる。
なんだそれ?つーかさっきまで魔界に居たんだから知るわけないだろ。
あ、そっか…こいつらは俺が魔界に居た事を知らないんだよな?
「まさか…知らないの!?」
「二週間経った今もニュースで騒がれてるぞ?」
……あー、あー、はいはい。
今ので大分理解できたぞ。
あの前ギルドマスターが無事に魔界から帰って来れたって言うアレか?
一応他にもあるかも知れんから聞いてみるとしよう。
「もしかしてあの魔界から帰って来たやつ?」
「知ってるじゃない」
「タイトルだけは…な」
本当はたった今思い至っただけなんだが。
「びっくりしたー…この業界であのニュースを知らない人って多分一人もいないよ?」
「どの業界だよ、幅広すぎるわ」
研究関連、軍関連、ギルド関連、魔術関連…俺らで言う業界はまだまだいっぱいあるぞ。
「話を元に戻しましょうか、エルー」
「おうよ…テイト、コレが何か分かるか?」
エルーがゴソゴソとポリ袋を取り出して上に掲げた。
「ポリ袋だろ?」
「違う、中身よ」
「中身?ただの葉っぱにしか見えんが…」
半透明?なポリ袋の中にはおそらく葉っぱであろう緑色の物体が入っている。
「コレがナニか分かる?」
「分かるけぇ、袋から出せよ」
…難易度高ぇよ、バカかこいつら。
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