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「「「お帰りなさいませ」」」



食堂に入ると4人のメイドが頭を下げた。



椅子に座ってる子供達はただ一人を除いてみんな不思議そうに俺を見ている。



「「…だれ…?」」


「お姉ちゃん達の知り合い…?」


「さあ?でもどこかで見たことあるような…」


「…どこにでも居そうな顔だよ?」



子供達はコソコソと疑問を口にする。



「夕飯の準備が…あら、お帰りなさいませ」


「みんなー、盛り付け…あ、お帰りなさいませ」



残りの二人のメイドがキャスターの着いたテーブルに大皿を乗せて運んできた。



俺を見るなり笑顔で出迎えの言葉を言う。



もはやメイド達の間ではメイド口調が条件反射のようになっているが…



俺はソレを強要した事は一度も無い。



大切な事だからもう一度言う。



メイド達にメイド口調や態度を強要した事はただの一度も無い。



おそらく本人達がメイドを意識してるからだろうな…と俺は思っている。



「…だれ?」


「誰?」


「誰なの?」



料理を持ってきたメイド長に子供達が一斉に質問し始めた。



…そういやこの前言い忘れてたけど…



メイド長って一定期間毎にジャンケンで決めてるらしいぜ?



このメイド達には上も下も無く、全員が平等に同じ立場のハズなのにな。



俺がこいつらを生き返らせた時にそう言ったのに…



やっぱりリーダーを決めないと最終的な意見の決定が長引くのか?



まあそれはいいや、あいつらが決めた事だし。



それより問題なのは…



年齢的な長女を除いた子供達が、俺の事を覚えてない事だよね。



確かに子供達には最近会ってないけども。



ハイブリッド体の女の子を連れて来た時も会わなかったし。



半年前に手合わせした時もキリとライナ以外会わなかったけど…



それでもこの存在事忘れられてる感はなんだろ。



「誰って…お父さんですよ?」


「「「「!!?」」」」


「え…!?」


「おとー…さん…?」


「………え?」


「うそ…!」



子供達の驚きようを見る限り本当に忘れてたんだろうなー。



ってかもしかしたらいる事すら覚えてなかったんじゃね?



「あ…思い出した…この前私を助けてくれた人だ…」


「覚えてくれてたんだ」



ハイブリッド体の女の子が俺を見て驚いたように呟いた。



「ライナは居ないですけど、ココで自己紹介でもしておきますか?」


「ああ…そだな、見たら分かるが名前はまだうろ覚えだし」


「じゃあみんな夕飯の前にお父さんに自己紹介しましょうか」



メイドの一人が手を叩いてザワザワしてる子供達を静かにさせる。



ふーむ…ちゃんと躾が行き届いてるなぁ。



やっぱりこいつらに任せて正解だったか。



「順番は…とりあえずココに来た順にしましょうか」



メイド達が指示して子供達を並び変えて座らせた。



因みにこの食堂は貴族の食堂のように、かなりの長テーブルの周りに椅子が22脚並べられている。



「では…ナノちゃんからいきましょうか、名字はみんな一緒なので名前だけね」



メイドの一人が右の奥の方を指差した。



「…ナノ、5歳」

「リィン、5歳だよ」

「私、サーリャ…6歳」

「ミィナです、10歳です」

「キリ、17歳だよ!」


「ライナは…飛ばしましょう、次」


「ミーシャは15歳」

「俺…クルナ…11歳…」

「俺はハリューだ、10歳になる」

「インシはインシ…8歳」

「僕はニコ、今年14歳だね」

「私はアリス、12歳です」




ふむ、俺が拾った順か。



ってかハイブリッド体の女の子はアリスって言うんだ。



しかもボクっ娘とオレっ娘が一人づついるんかい。



クルナとニコ…ね。



絶対にうろ覚えのまま終わると思うけどまあいいさ。



「俺は一応戸籍上はみんなの父親だ」



年齢的にはそこのメイド達と変わらないけどな、と一応子供達に説明する。



「「…?」」


「こせきじょー?」


「…意味不明」


「あれ?まだ言って無かったのか?」



下の子達が俺の言葉に不思議そうな反応をしたため、メイドに聞いてみた。



「そう言えば…そろそろ言わなければ、と思いつつも忘れてました」



メイドの一人は恥ずかしそうにうつむく。



…いや、別に恥ずかしがる必要はないと思うけど。



「じゃあ丁度いいか…良く聞けよー、ここにいる兄妹達はみんな俺が拾ってきたんだ」


「「「え…!?」」」


「…?」


「俺の隠し子とかじゃないぞ?つまり、みんな血が繋がってない義家族ってやつだな」



下の子以外の子供達は前以て聞いていたのか驚いた様子はない。

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