26
「準備はいいか?」
「OK、いつでもいいぜ」
「私も」
エルーが俺とマキナの顔を見て確認する。
マキナは腸が煮えくり返ってるのか、いつもとは違い殺気が研ぎ澄まされていた。
因みに…俺らは今、とある施設の入口にいる。
何故こうなったのか?と遡るまでもない簡単な理由だ。
リザリーを奪還しに来た。
邪魔する者は女以外…老人だろうと子供だろうと皆殺す。
俺らはそれぐらい殺気立っている。
いや、正確には俺だけ殺気を出していない。
マキナは当然の事、エルーからも隠しきれない殺気が漏れ出ている。
だからこそ、俺は冷静になっていないといけない。
俺らはチームで行動する際は、誰か一人は常に冷静である事…と言う鉄則を叩き込まれている。
こいつらが冷静さを欠いてる以上、俺は自分の感情を無理やり抑えてでも冷静にならないとな。
そうじゃなきゃ全滅する可能性が出る。
「じゃあ行くか」
「マジで正面から行くの?」
「程人、こういう輩は完膚なきまでにぶっ潰さないと」
「へいへい…マキナ嬢の仰せのままに」
どうやらマキナは腸が煮えくり返り過ぎてプッツンしてるようだ。
エルーがミニバッグから手榴弾(改)を取り出して、正面の頑丈そうなシャッターに投げる。
ドカン!!と手榴弾(改)がかなりの爆発が起こして頑丈そうなシャッターは跡形もなくなった。
幸いこの施設は人里離れた場所にあるので、相当派手な騒ぎを起こさない限りは大丈夫だと思う。
まあとりあえず、施設に入って敵に遭遇する前に…
ココに至るまで簡単な経緯でも話しますか。
そうじゃないと、は?みたいな顔されそうだしね。
ホントにザックリ説明すると、リザリーの発信器を追って来た。
ソレだけじゃ物足りない?
…仕方ない、ちゃんと順を追って説明するか…
朝、手紙が来た。
俺はリザリーが攫われた事を知る。
その後、主人公ヒロイン的なハプニング発生。
マキナとエルーに手紙を見せる。
手紙を読んだ二人は当然怒った。
そして二人の情報網+リザリーの発信器で場所と敵を特定。
昼過ぎ、色々と準備をして敵の本拠地?に向かう。
今現在の夕方、敵の本拠地?である施設を強襲。
因みに、指定場所と指定時間はガン無視。
指定時間はPM17:30で、指定場所はどっかの廃校の校長室だった。
さっき指定時間が過ぎたため、もうリザリーの凌辱が始まってるかもしれない。
それを想像したのかマキナは急にあんな感じになった。
そういや今回の移動は俺の影移動じゃなくて普通に馬車での移動だったな…
移動中に色んな情報網で敵の施設の内部地図を作成してたのか?
まあ地図があろうがなかろうが関係ない。
部屋と言う部屋を片っ端から探して行けばいいだけだし。
…あーあ、あの発信器がもっと高性能だったらなぁ…
残念ながら住所以外の、建物内のどの部屋にいる。とか細かい場所までは分からない。
ただし、この世界であの発信器が使えない場所は俺の別荘のあの部屋以外は無い。
特殊な電波を出していて約15個の人工衛星が発信器の位置を特定する仕組みだ。
深海だろうと地下だろうと電磁場だろうと…あの発信器にジャミングなんて小細工は通用しない。
今でもかなり高性能なんだけど…細かい位置まで探れたらパーフェクトなのに。
惜しいぜ。
「侵入者だ!」
「やっと出てきたか」
「始末しろ!これ以上先に進めるな!」
やっと何人かの警備兵?がワラワラと出てきたが、数分でただの肉塊に変わる。
うひゃあ、プッツンきたマキナの戦い方は怖いな…
卵を握り潰すかのごとく、警備兵?の頭を握り潰してるし。
おそらく…いや、確実に身体強化をしてるとみた。
そうでなきゃ、手甲を填めてるとは言えただの握力で人間の頭蓋骨を握り潰すなんてマネは出来ないと思う。
「いたぞ!戦力を集めろ!」
「この広い施設内を固まって探すのは非効率的っぽいな…とりあえず散開しようか」
次々と出てくる雑魚敵を蹴散らしながら俺が提案する。
「分かった、合流地点はどうする?」
「そんなのいらない、会ったら合流すればいいよ」
「そだなー…とりあえずそうしようか」
淡々と返事するマキナにブルっと軽く慄いて、とりあえず賛同する事にした。
「んじゃま、解散」
怒号に悲鳴に断末魔…が施設内に響き渡る中、俺らは分散する。
俺は右側、マキナは左側、エルーはまっすぐに向かって進む。
「邪魔だよーん、っと」
「ぎゃあああ!!」
「ぐわああ!」
無名で次々と雑魚を斬り裂きながら前へと走る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます