12
「まだまだー」
左側もバラバラに切り裂くと、また白い管が出てくる。
その白い管を斬ろうと剣を振るも…すり抜けた。
は…?当たらない…?
とりあえずまた白い管を斬ろうと剣を振るが結果は一緒。
剣が白い管をすり抜ける。
…マジで?コレってなに?実体化するのはくっつける一瞬だけ、ってやつ?
めんどくせぇー。
「グアア!!」
「おっと」
実験動物?はもう下半身の回復は諦めたのか上半身だけで突進してきた。
そこらへんに転がってる人達を回収しつつ実験動物?の攻撃を避ける。
どうしようかなー?倒そうと思えば倒せるがギャラリーが多すぎるぜ。
因みにこの山は観光登山用に整備されていて、一般人が結構居たりする。
無駄に時間がかかっているため、実験動物?が吠えた声を聞いて野次馬が集まって来ていた。
俺が抱えてるこいつらはアテになるかどうか分からないし…
ああ、でも一応起こしてみるか。
「起きろ」
そこらへんにドサドサと放り投げる。
「「「う……」」」
「起きたんならサッサとこいつを倒せよ」
「グルルル!!」
「っと…」
実験動物?の殴りかかってきた腕を手首から斬り飛ばす。
…アレ?そういえば下半身はどうなってんの…?
チラッと実験動物?の下半身があった場所を見るとドロドロに溶けたナニカがあるだけだった。
ははあ…その手もあったか。
上半身を真っ二つにして、管が届かないぐらい離れた場所に投げればいいじゃん。
…なんでこんな簡単な事を思いつかなかったんだろ…
「化け物が!まだ死なんのか!?」
俺が軽く落ち込んでると、後ろに倒れてたはずの人達が実験動物?に斬りかかっていた。
ん~…どうせ上半身だけだし、こいつらだけでも大丈夫でしょ。
もしダメだったとしても冒険者ギルドのメンバーが倒してくれるさ。
俺は剣を鞘に納めてその場を離れた。
そしてギルド支部の建物へと戻る。
「はい、報告が来てます依頼達成ですね」
建物の中に入り、受付嬢に依頼を終わらせた事を報告した。
実は討伐依頼を達成させるには倒した事を確認する人を呼ぶか、もしくは証拠写真を持って行かないといけない。
ギルドのメンバーともなると信頼されているから報告だけで済むが…
俺みたいな短期のアルバイト目的だと報告だけでは済まない。
だからゴブリンを倒してる最中にボタン式の無線機で確認者を呼んでいた。
そのおかげで受付嬢に報告がいってたらしくスムーズに終了。
「あと…Sランクの討伐協力報酬がありますね…えーと…すごい!」
パソコンのキーボードをカタカタ…と打つと画面を見て驚いたように声をあげる。
「は?」
「こんな短時間であの実験動物を倒したんですか!?どうやらギルドのメンバーがトドメを刺したようですが…」
あ、やっぱりあれ実験動物だったんだ…もしかしてあれ以上は再生しなかったのか?
生物である以上は回復度合いにも限界があるし。
まああいつらはラッキーだったって所か?
あーあ…あと一撃で倒せてたかもしれなかったのに…もったいない事をしたな~。
「あれ?…Sランク討伐協力ではなく、討伐の方に切り替わってますね…」
「どーでもいーよ」
早くこの場を離れたいんだけど。
受付嬢が騒いでるせいでみんなの視線が俺に集中してんだよ。
「では報酬の方ですね…355万になります」
受付嬢は数えた札束をカウンターに乗せて俺の方に押した。
現金の万札かよ、小切手の方が良かったのに…
「本来ならこのSランクの討伐報酬は400万なのですが…他の協力者の方との分配になります事をご了承ください」
「はいはい」
あっちが協力者扱いになったって事ね。
「では、またのお越しをお待ちしております」
「はいよ」
札束をポーチに入れて、頭を下げる受付嬢に手を振って建物を出た。
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