15
「そうだな…じゃあ行くんなら、せめて遺書ぐらい書いとけ」
「く…姉さんゴメンなさい、だけど私はどうしても…」
「うう…死ぬ前に子ども作りたかった…」
「ナターシャ、後の事は兄さん達に……」
こいつらどれだけ本気で行きたがってんだよ。
諦めると思ったらマジで遺書書いてるし。
一人あたりA4の紙三枚ほどの遺書を封筒に入れさせてテーブルの上に置かせる。
そして各々が準備する事一時間。
俺はみんなが集まるまでソファで寝てた。
「ふあ~…覚悟は出来たか?」
「ええ、準備もバッチリよ」
「私も」
「俺もだ」
じゃあ行くか…と言って俺は石を4人の中心に置く。
そして石に刻まれてる呪文を唱えると魔方陣が浮かび上がった。
「良く…来てくれましたね」
「やっぱり直接通じてたか」
「「「え?…ココどこ(だ)?」」」
天界にワープした俺らの目の前には女神がいた。
女神のほとんどは人間とはかけ離れた絶世の美貌の持ち主。
他の三人は辺りを見渡して混乱している。
「ユリスさんだったのか…」
「さん、は要らない…ユリスと呼び捨てで構わないと言ってるでしょ?」
久しぶりに会うもんだから敬称で呼んだら軽く窘められてしまった。
「はいはい、女神ユリスの仰せのままに…で?何の用?」
「その前にこの子達は?」
「ああ…俺の友達、一応戦力になるから協力を頼んだ」
嘘だけど、本当は半強制的について来たんだし。
エルー達は女神ユリスの美貌に見惚れてるようでボーッとしてる。
「それは…御協力感謝します」
マキナ達にフワリと柔らかく微笑む。
エルー達は一気に顔を真っ赤にして視線を外した。
「ふふ…昔の貴方を思い出す反応」
「だから言っただろ?人間なんてそんなモンだって」
「主、呑気に雑談をしてる場合では…」
リザリー達を見て二人で笑いあってるとエリュシオンが割り込んでくる。
「そうでした、つい昔を懐かしんで…」
女神ユリスは真剣な顔になって俺に依頼したいと言う内容を話した。
20分ぐらいの話だからとりあえず割愛。
纏めると…
突然人間が天界にやって来た。
他の神に気に入られてその人間を巡って神同士の争いが起ころうとしている。
それが大きくなる前に未然に防いでほしい。
との事。
しかし、既に内戦のように小さい争いが続いているらしい。
「博愛の女神ユリスからしたら見過ごせない…か」
「ええ、ヴィーナス様も頭を痛ましてる様子で…」
「へぇ流石は親子、ってかまあ似るのは当然か」
愛を司る女神は争い事とか嫌いだからなぁ…
母親の体調も心配だから俺の所に頼みに来たのか?
「ってわけだ、コレから作戦を説明するぜ」
「ちょっと待って、ヴィーナス様って愛と美の女神の?」
「おう、女神ユリスの母親な」
「ええ!?娘とかいたの?」
マキナと一緒にエルーまでも驚いている。
「実際の天界は聖書とかと違うよ?名前が一緒なのは偶然じゃないかな」
なんか家とかバカデカイし。
一人…一柱?に割り当てられる家の敷地はだいたい、街二つ分ぐらい。
女神や神の臣下もその敷地内に住んでるから妥当と言えば妥当か?
天界の広さが地球の二倍ぐらいだから、歩いて移動するのは超大変。
だから天使達は飛んで移動するために羽を生やしてるわけで。
「まあとりあえず、作戦会議だ」
「ええ、そうね…やる事を終わらしてから観光しましょう」
「そうだね、サッサと終わらせよう」
「女神の住むこの家も宮殿みたいだな…」
とりあえず意見が一致したため作戦を説明する。
この天界の地図を渡す、お前らは時間までにこの丸で囲った地区の天使達を倒せ。
いいか?相手にするのは下っ端と中級だけだ、上級には手を出すな…ってか見たら逃げろ。
そしてコレ、ボタンを押せば俺の本体が光るようになっている。
1がマキナ、2がリザリー、3がエルー。
上級は首にアクセサリーをしてるから直ぐに分かるはずだ、もし神に遭遇したら迷わずに逃げて押せ。
直ぐに俺が行く、お前らは陽動だから無理すんなよ。
俺は渦中の人間をなんとかする。
じゃあ解散っつー事で…ホイ。
俺はポーチから閃光玉を取り出して地面にぶつけた。
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