22

「はいよ」



掴んでいた腕を離して立ち上がると不良達が後ずさる。



「場所はあの廃工場だろ?先に行っといて、会計済ましたら行くから」



姫様を立たせレジで会計を済ませてから廃工場へと向かう。



廃工場に着くと人、人、人の群れ。



多分100人は軽く超えてるんじゃないかな?



狭い廃工場に入り切らずに外まではみ出してるし。



「あ!遅いですよ!」



俺を見たリーダーが走ってくる。



「一応、この街で抗争中のチームグループを集めました…もう一触即発ですね。あれが…」


「ああ説明はいいよ、ただの雑魚の群れだから」


「「ああ!?」」


「ちっとばかり姫様預かっといて?怪我させないようにな」



俺はリーダーに姫様を預けてこっちに向かってくる下っ端のヤンキーを数人を蹴り飛ばす。



「「「!!?」」」



リーダーと姫様以外のその場にいた者が俺の行動に驚き、それによって不良のトップをかけた戦争が幕を開けた。



それから15分後。



178名もいたヤンキーの群れも残すは4人となった。



「雑魚共はいくら集まっても雑魚なんだって」


「な…!何者だてめえ!」


「ん?今は傭兵崩れかな?お前らみたいなガキじゃ俺に傷一つつけられんぜ」



まあガキって言って15~25歳ぐらいだと思うけど。



たかだか一般人が調子に乗るなって感じだよネ☆



「んじゃま、残りはリーダー達だけになったっぽいし…決着でもつける?負けたらあいつの傘下に入ってもらうよ、断ったら殺すけど」


「ふざけん…なぁ…!?」



4人の内の一人が殴りかかってきた。



その拳を受け止めて右腕を折り背負い投げの要領で肩の関節外し投げる。



「がばぁ!?」


「どうする?首の骨を折られて死ぬのと、傘下に入るの…どっちにする?」



倒れた男を転がして喉を踏む。



「た、頼む…殺さないで…入る、入るから…」


「汚ね」



男は倒れた下っ端ヤンキーの上で恐怖に負けて漏らした。



「残りのみなさんは?やる?降伏する?」


「…あの顔、賞金100億の首だ!!」



3人の内の一人の男が懐からナイフを取り出し俺を無視して姫様の方へ走った。



「無礼者が!」


「ぐはっ!?」



姫様はナイフを軽く避けて男の顎を蹴り上げて、倒す。



「貴様ごとき雑魚が私に触れていいと思うなよ!」


「あー…姫様ってそう言や剣術の腕も一流だったっけ?おい、何してるトドメを刺せ」


「え?あ、はい」



俺は呻きながらのたうちまわっている男を唖然としながら見ているリーダーに命令する。



リーダーが男の腹を何回か蹴ると男は動かなくなった。



「あっと二人♪…と言うわけで…」



俺はそこらへんに転がってるヤンキーを拾いあげて二人に次々とぶん投げる。



「な…!」


「くそ…!」



当然全部避けられたが…スキだらけだぜ。



素早く近づき一人の頭に回し蹴りを食らわして、もう一人に後ろ回し蹴りを食らわした。



「コレで終わりだな、まあ軽い準備運動ぐらいにはなっただろ」



本番はこれから…多分調印式の時に来るだろう。



来なけりゃ来ないでいい、てか来ないでくれるとありがたい。



「じゃあリーダーよ、後は任せたぞ?」


「あっ、はい」


「口ほどにも無い奴らではないか」



俺は姫様を連れて廃工場から出る…前にリーダーの方を振り向いた。



「仏の顔も三度まで…死にたくないなら頑張れよ」


「…!も、もちろんです!今度こそ!!」



リーダーは戦慄しながら直立不動でそう叫ぶ。



「じゃあそろそろいい時間だし準備しますかね」


「うむ」



廃工場を後にしてホテルに戻る傍ら色々な所を見て回った。



「もう着いてしまったか…」


「まだあと13日もあるから大丈夫だよ」



残り13日…コレからだって言うのに気が滅入るぜ。

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