13
「コレって何処で換金すればいいです?」
「ああ、コレは…入口の方の小道の方にある『大会賭博換金所』と言う所になります」
「へぇそんな所が…?ありがとう」
「いえいえ」
おっと、こういうお世話になった場合ってチップをあげるんだっけ?
って言っても手持ちが無い……ああ!?そういえばポーチ!返してもらってねぇ!!即刻取りに行かねば!
「クレイン、金ある?」
「え?一万札が一枚だけです」
「かして」
「あ、はい」
クレインから札を一枚受け取りスタンバってた人に、教えてくれたお礼のチップです。と言って渡す。
「とりあえず控え室に行ってから換金所に行くか」
「はい!」
元気いいなー…と思いながら控え室に行くと『この後の代表戦が終わるまでお預かりします』と言われた。
あと20分後には始まるらしく、またあのボディチェックを受けるよりは…と考えそのまま換金所に行く。
ドアの前でスタンバってた人に聞いた場所へ行くと本当に『大会賭博換金所』と書かれた看板を発見。
その辺にいそうな一般人が眼帯とメガネを一緒に着けたような変な顔の奴が俺を見て首を傾げる。
「おや?ダンナは大番狂わせの『道化師のピエロ』では?」
「大番狂わせ…かどうかは知らんがピエロではある」
「そうですか、いやぁ儲けさせてもらいましたよ」
ありがとうございました。と飲み物と食べ物を差し出す。
「コレを換金したいんだが」
「へいへい…これは!物凄い額になりやすぜ!?」
紙の束を受け取りソロバンで計算した男が驚いた様子で言う。
「7,860,000…!こんな金額生まれて初めてだ!」
「凄いのか?」
「ダンナ…気をつけて下せぇよ」
次も期待してまさぁ!とバッグを渡された。
中を見てみると札の束が何個か入っている。
「次もこれ全部賭けますね!」
クレインは俺からバッグを取ると入口の中に駆け出して行った。
この食べ物はどうしたものか…とりあえず少し毒味してみるか、大丈夫だったらクレインにでもあげよう。
観覧席の個室に入ってまず弁当のフタを開けて匂いをした。
……確実に何か入ってるな、魚…とサラダか、雑な仕込みだこって。
魚とサラダは俺が食べ、ペットボトルのフタを開ける。
ん~…コレは何も仕込まれてないみたいだな。
流石に両方に仕掛けるって事は無いか。
怪しまれちまうから…ってももう弁当の時点で怪しいけど。
『これより代表戦を行います、両者は控え室までお越し下さい』
「きゃっ!」
アナウンスが流れ、控え室に行こうとドアを開けるとクレインが驚いたように声を上げた。
…ただ同時にドアを開けたってだけで驚き過ぎだろ。
「びっくりしました…あ、頑張って下さいね!」
「まあ多少はな」
クレインの応援を適当に受け流して控え室に向かう。
「道化師のピエロ様ですね?南側の控え室でお待ち下さい」
「ども」
部屋を出ると直ぐにスタンバってた人に声をかけられる。
南側…南側…あれ、南側?南側ってどこ?
…まあいっか、さっきと同じとこに行けばいいや。
間違ってたら教えてくれるだろうし。
俺はさっきと同じ控え室に入る。
どうやらソコが南側で当たっていたらしく、係員に説明を受けた。
なんでも代表戦では武器以外の道具も使用可能だってさ。
ポーチを返されて中身を確認すると渡した時と何も変わらず、少しホッとした。
だったらさっきの内に返せよ…まあ結果的に返って来てるから良しとするか。
代表戦のルールは簡単だった。
1.相手を戦闘不能にするか降参させたら勝利。
2.相手を殺したら失格。
それ以外はなんでもアリのデスマッチ?だとか。
殺したら失格か…ちょっと不利なルールだな。
因みに相手を殺して失格になったら敗者復活戦で代表者を決めるらしい。
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