02

あ!この人…良く見たら女だ!



マジかよ…俺の行動、行為全てにおいて完全にアウトじゃん。



気絶してるんだし…ヤっても問題ないかな?いや、やっぱり味見程度に…



止めた、そんな気分じゃねえし。



顔はボーイッシュ系で可愛いけど今は早く逃げる事が先決だ。



さっさと脱がして服を拝借するか。



男だったら下着のまま放置するんだけど…女の人の場合はそうもいかないよな?



縁起悪いかもしれないけど今の俺の服を着せよう。



中の上ちゃんゴメンね?



心の中で謝りつつ服を脱がす。



見た目によらず胸デカッ!腰もくびれてるし…脚も引き締まってる……ゴクリ。



………!いかんいかん!欲情してる場合じゃない!



さっさと服を着せて、服を着て脱出せねば。



おお…中の上ちゃんがさっきまで俺が来ていた服を着ている。



そして俺はその女の人が来ていた服を着ている…!



なんかに目覚めそうだ!



ウィッグを外して中の上ちゃんに付けた。



『中の上』ってのは容姿レベルの事ね。



まあこの場合は女の人の呼び方でもあるんだけど。



ショートも可愛いかったけどロングも似合うなー…このままお持ち帰りしたらダメかな?



拘束して俺好みに調教したい。



警備員だか兵士だかやってんだから気が強いんだろうなー…気の強い女が堕ちるのってなんか興奮しない?



もしかして俺だけ?特殊プレイ…?…特殊な性癖か!?



「う…」



ヤバい!中の上ちゃんが目覚める…早く逃げなければ!



いや、待てよ…?男子トイレに女の人が居たらマズくないか?



下手したら…企画物みたいな展開に…!



それは嫌だ、中の上ちゃんもトイレの外までは連れて行こう。



女の人を担いでトイレから出る。



少し進んだ廊下に座るように寝かせて俺は廊下を進む。



ちなみに緊急事態のサイレンが鳴ってる最中だよ?



トイレの中に居る時に足音が聞こえたから今頃は遺体安置所に集まってるんじゃないかな。



出入り口を探すためにひたすら走った。



人に会う度に腹を殴って気絶させてるんだけど…やっぱり服装が一緒だから油断してるね。



出入り口の場所も分かったしサッサとおさらばするか。



「おい」


「はい?」


「お前…見ない顔だな」



…マジかよ、なんだコイツ?全員の顔覚えてんの?



「新入りか?」


「あ、はい。卒配したばっかりでふ」



噛んだ、重要な所で噛んでしまった。



「…可愛い顔だな」


「あ、ありがとうございます…」


「どうだ?今夜部屋で飲まないか?」


「すみません、お酒は飲めないので…」



いやいや…もしかして見ない顔ってそういう事?



職場の女の人を全員飲みに誘ってんの?そしてあわよくば食べちゃうの?



ヤるねぇ~、でも男の俺から見ても顔はそんなにカッコ良くないから怪しい薬でも使ってたりしてな。



「そうか…残念だな」


「食事なら…また誘って下さいね」



適当に会釈して男から離れる。




…次の機会なんてねぇよ。

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