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そうこうしているうちにふと時計を見るともう昼時になっていた。



もう昼か?時間の流れはいつの時も止まる事をしらんな。



俺が時計を見てるのを見たリザリーが話しを切り出した。



「昼食時ね」


「俺はパス」


「?どうしたの?」


「朝食のせいで腹が減らん」



ついさっき食べたばかりだし、ついでに言えばさっき起きたばっかだしな。



そしてなによりロシアン料理の猛攻による胃袋の異変…的なアレ?



今は特に腹痛とか気分悪いとかは無いが、昼食を食べられるコンディションでも無い。



「じゃあ作りなさい」


「なぜに?」


「どうせ食べないんだから暇でしょ?」


「賛成ー」


「俺も賛成」


「えっと…じゃあ私も、賛成で」



賛成多数、仕方ない…作って差し上げましょうとも。



俺はキッチンの方に向かい冷蔵庫を開ける。



…………材料無いんだけど。



卵が三つに肉が二枚…野菜が少し…?



これで俺にどうしろと?ある物で足らさないといけないのか?無理難題をふっかけるなー。



肉を焼いて、卵を焼いて、野菜を蒸す。



焼いた肉を適当な大きさに切って厚焼きにしようとしてる卵の中に挟んで包んだ。



それを四等分に切って、蒸した野菜に軽く塩を振り、皿に盛り付ける。



…量が少ないのは仕方ないと思いまーす。



俺の技量では誤魔化し切れないんだよ。



「はいよ」


「ありがとう」


「美味しそう」


「少なくないか?」


「ありがとうございます」



テーブルに置くとエルーだけが量について不満を漏らしていた。



「米でも食っとけ」



電気釜の中にある白米を三人分よそって女性陣の前に置く。



エルーのは特別にどんぶり椀に山盛りで入れてやったぜ。



その上からふりかけを三袋もかけて目の前に置いてやる。



「「「「いただきます」」」」



形ばかりの合掌?をして俺の作った飯を食べ始めた。



「まあまあね」


「美味しいよ」


「…美味しいです」


「んまい」



どうやらリザリー以外は美味しいらしい。



別に仕返しとかしてないよ?ちゃんと美味しく作ったつもりだし。



多分、手放しで褒めるのが嫌なんだろう…そう思いたい。



「「「「ご馳走様」」」」



…マジかよ、エルーの奴…女性陣の三倍はある量の飯を女性陣と同じ時間で食べ切る…だと…?



なんて早さだ、しかもちゃんと噛んでるあたりが凄え。



「何ボーッとしてるの?」


「ん?」


「暇してるなら片付けなさい」



わー…女王様が降臨なされたぞー(棒)



「へいへい…つーか俺はお手伝いさんじゃないんだぞ」


「お手伝いさん?何それ、助手か何かなの?」


「ハウスキーパーとか家政婦の事だよ…ギリギリ女中とか執事かな?」


「女中?執事?」



リザリーは納得したらしいが、今度はクレインが聞いてくる。



「こっちで言うメイドとバトラーだな」


「へぇ…呼び方色々あるんですね」


「まあ俺は異国出身だし」


「あ…そうでしたね」



ちなみに今喋ってる言語は世界共通語だ。



俺は共通語も合わせ全部で五ヶ国語喋れる。



出身国の言葉は当然最初から喋れるとして、共通語は頑張って覚えた。



他の三ヶ国はそれぞれの友達から遊び感覚で習った…とでも言っておこうか。



リザリーとマキナとエルーはユニオン共和国出身で、俺を含めた他の奴らは別々の国から来ている。



まあ今更の事だし説明する必要も無いんだけど。



共通語さえ喋れたら他の言葉は覚える必要ないしね。



とりあえず女王様の言うとおりに皿を洗う。



一応マキナと女王様も手伝ってくれた。



「さて、じゃあ作戦会議ね」


「おー」



皿を洗い終わるとリザリーが白紙をテーブルに置いて仕切る。

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