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「なにさっきからパンツ見ようとしてんのよ」
「男の習性と言うやつで…やはり理性は本能には勝てないようだ」
「そうよ、あんたの人体実験によってそれが科学的に証明されたわ」
冗談で言ったのに…つーか『スカートの中を覗こうとする』習性ってなんだよ。
自分で言っておいてなんだが、そんな変態行為が習性の男って人としてアウトだぞ?
…………だから俺はアウトなのか…
だが男として…っ…!モラルを取るか…男のプライドを取るか…っ…!
公共の場では8割モラルだな。
人として…もとい人デナシとして。
「そろそろ雑談は終わらない?本題に入りたいんだけど」
「本題?」
俺が大人しく伏せってる(賢者モード)のを見てリザリーは話しを切り出してきた。
「あんたに付き合ってもらいたい事があるの」
「それって…まさか…」
「もしかして雰囲気から察したの?」
「デートって事ですか?」
「違う違う、私の言い方が悪かったわね…実験によ」
俺のキャラに合わない渾身のボケが普通にスルーされた。
「実験?」
「そ」
さっきのボケが無かったかのように進んでいく会話に俺の羞恥心がギリギリと締め付けてくる。
狙ったボケが不発に終わるどころかスルーされるとものすごく恥ずかしい。
ボケがボケと認定されてないだけに自分しか知らないため、心が徐々にヒビ割れていく。
「その前に、デートじゃないけどちょっと付き合って欲しいなー…なんて」
黙っている俺を見てさっきの会話の流れを思い出し察したのかリザリーが手を叩いた。
この女…!知ってて俺の心を締め付けるような事を言いやがって…!
顔がいかにも意地悪な笑顔になってやがる。
あと20秒あれば立ち直れたのに。
「なにに?」
「運動、最近研究ばっかで体がなまっちゃってね」
「組手の相手でもやれと?」
「うん、そゆこと」
リザリーは屈伸運動したりストレッチを始めた。
「無理だって、お前が今の俺に勝てるわけないじゃん」
「は?私に勝った事の無い奴の言うセリフ?」
昔なら身体能力は互角だったかもしれんけど…今じゃ、ねぇ?
「この五年間ずっと修行してたんだぜ?」
「だから?それで私に勝てるとでも?」
リザリーは鋭い目つきで俺を睨んできた。
「おお怖、俺とお前じゃくぐり抜けた死線や修羅場の数が違うんだよ…つまり質がな」
「ふーん、ずいぶんと偉い口を聞くようになったわね」
「まあな」
今度は俺に向けて殺気を放つ。
「私の恐ろしさをまたその体に刻み込んであげようかしら」
「お前の恐ろしさは忘れたくても、忘れられん」
「じゃあ更に刻み込むわ」
こいつ…本気か?
ぶっちゃけ男と女じゃ筋力の差が出るから真剣勝負じゃどうしても勝てないと思うけど。
まあなんでも有りの戦いだったら人間時の俺に勝ち目は無いけどさ。
「まあまあ…落ち着けよ、俺はこの状態だぜ?まず組手ができねぇよ」
「毒には解毒薬があるって知ってる?」
「アニフィラーって解毒薬は無いんじゃ…」
リザリーはどこからか注射器を取り出し、俺の頭を押さえつけて首筋に刺した。
「あんたの研究に私独自の研究を織り交ぜた物よ」
リザリーは中身が空になった注射器をぽいっと投げ捨てた。
こんな真っ白な部屋でポイ捨てすんなよ…
「二分あれば体は動くようになるはず、さっきの言葉を後悔させてあげるわ」
ポキポキと骨を鳴らして獰猛な目つきに変わる。
「ふっ…」
俺は内心キター!と喜んでいるが、ばれないように鼻で笑う振りをした。
どうやら賭けは良い方に転がったようだな。
「何がおかしいの?殺すわよ」
「いや…こうもうまく行くとは思わなくてな」
俺はだんだんと動かせるようになってきた体を動かして立ち上がる。
「?」
リザリーの目には意味が分からない、と困惑の色が出ていた。
わざわざ分かるように説明するのは面倒くさいな…でもこいつなら一言で把握しそうなものだけど。
「お前の性格を利用させて貰ったぜ…的な?」
「~~!まんまと嵌められた、ってわけね…」
リザリーは理解できたのかすごく悔しそうな顔に変わる。
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