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「ぐあっ」



吹っ飛ぶ俺に追撃と言わんばかりにヤツが迫ってくる。



「がはっ!」



ヤツは俺の脚を掴み床へ何度も叩きつけた。



床が割れてヤツ共々階下に落ちる。



落ちた階下の床に全身を強く打ち付け体中の骨から嫌な音が聞こえた。



そんな俺とは対象的にヤツは悠々と着地している。



「ぎギぎギ…ヨわイ…よワい」


「なんの…これからさ」



俺は立ち上がり剣を鞘に納め深呼吸した。



「さあここからだ」



俺は剣に手をかけて構える。



ヤツはアホみたいに俺に向かって飛び込む。



「くらえい七転抜刀」


「ぎ!?」



俺は剣を抜くと同時に向かってくるヤツを瞬時に七回斬り裂いて剣を鞘に納める。



やっぱ技名を言うとこっぱずかしいな…



しかも本当は刀でやるべき抜刀術なんだけど、まあいいか。



ヤツは俺の後ろでバラバラになる。



「七転抜刀、七転抜刀、七転抜刀ー」



俺はバラバラになっているヤツを更に斬り裂いた。




やはり七転抜刀を連続して繰り出すと疲れる…



「ぎ…ぎ…」



100以上のパーツに分かれているヤツの体が黒い霧になって霧散した。



俺から少し離れた場所でヤツの体が元の形に戻る。



「どうだ?少しは効いただろ?」


「たリナい…もッとホンきをダせ…」



七転抜刀を4回食らったのにまだ元気とは…やっぱり力を解放しないとダメかな?



でもなんかなー…



力って使えば良いって問題じゃねえし。



体にガタが来そうだけどアレやるか。



「いいぜ、本気の七転抜刀を見せてやるよ」



刀の時よりレベルは下がるがまあ贅沢は言ってられまい。



俺は目を閉じ腰を少し落として剣に手をかける。



そして数回深呼吸した。



「いくぞ」


「コい」



俺は目をゆっくりと開けてヤツの元へと全力で走った。



「七天抜刀」



全身の筋力をフルに使い剣を抜いてヤツを斬り裂く。



回数にして49回。



目にも止まらぬ速さで斬り裂いたためヤツは粉々になった。



「あー…筋肉痛がー…」



俺は剣を杖代わりにしたものの地面に膝を着いた状態から立ち上がれない。



全身に力が入らず剣から手が離れ地面に倒れこむ。



「あと五分ー…げ」



粉々になったヤツのパーツから黒い煙が上がった。



煙は霧となり形となり結局ヤツは元通り。



ってわけでも無かった。



結構ダメージは負ったらしくヤツも地面に膝を着いている。



流石の悪魔も俺の秘奥義(笑)をまともに喰らえばタダでは済まなかったらしい。



「ギ…ギ…いマのハ…いいゾ」


「戦いを楽しむ奴って基本ドMしかいないよなー」



攻撃を食らって何が楽しいんだか、俺には理解できん。



痛みこそが生の証だ、とか言う奴も頭おかしいよな。



生の証なんて自己の存在を認識すればいいだけじゃん、簡単な話だろ。



「あー…あと4分ー…」



やはり七天抜刀を使うと体への負担がヤバイな。



つーか、俺もあの頃より強くなってるはずだよな?



前の悪魔将軍共は七転抜刀を一回食らっただけで死にかけてたくせに…



まああの頃はまだ七転抜刀は一日に一回しか使えなかったし、七天抜刀なんて本当にあるのか?とか思ってたしなー。



ちなみに七天抜刀は七転抜刀を七連続で繰り出すだけなんだけどね。



瞬時に49回斬り裂くって凄くね?



努力の賜物にも程があると思うんだけど…さすがは俺だ。



俺って気づかなかっただけで実は天才だったのか?



うーん…天才かどうかは微妙なラインだよなー。



ちくしょう、才能が欲しい。

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